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漢方処方=新型コロナウイルス肺炎=『方剤大観』+『SARSの中医学』の応用  衛分の重症と軽症



『方剤大観』の分類に於いて、新型コロナウイルス肺炎や、SARSなどの症状は「衛分」の<重症>、という分類に該当します。  

かつてのSARS騒動の折、台湾の人たちは、束縛されることを嫌って病院には行かず、勝手に漢方薬を飲んで治してしまった人が多く、おかげで、台湾におけるSARSの終息は、世界で一番遅れてしまった、ということです。

新型コロナウイルス肺炎に対しても、台湾の人たちは、同じように対処する可能性があります。

 

以下、『方剤大観』からの引用を掲載します。



「衛分」の方剤

 「衛分」とは、全身の一過性症状を言います。簡単に言いますと、風邪とか急性肺炎などですが、特に風邪が一番多いものです。

 特徴としまして、発熱、頭痛、咳とか発疹などの症状が見られます。発疹はまた必ずあるとは限らないのですが、急に熱が出た、急に頭痛がした、急に咳が出た、急にブツブツ出てきた、こういうものがあります。

 また、これに付帯したいろんな症状があります。肩が痛かったり、背中が痛かったり、腰が痛かったり、食欲がなかったり、付帯したいろいろな条件がありますが、「衛分」つまり「表証」といえば、常習性ではなく、急に熱が出たとか、頭痛がするとか、咳が出た、発疹が出たとか、こういうものがあれば、これを「表証」、つまり「衛分」と言います。「衛分」と決まったら、まず、それが重いか軽いかを区別します。

 


「衛分」の重症と軽症

 たとえば、熱などは、38度を境にして、38度以上であれば、これは「重い」、38度以下なら「軽い」と見なして良いわけです。

 頭痛も、普通に比べてやや痛いのと、それから「わーっ、痛いから何とかしてくれ!」という痛さとがあります。この違いがあります。咳でも、ほんの少し咳をするのもあるし、咳で胸が痛いとか咽喉が痛いとか声が擦れている、というなら重症と見ます。発疹も、少しブツブツ出たぐらいなら軽く、バーッと全身に出たら重いと見ます。混ざって出た場合は、どれか一つでも重いものがあれば重い方を採ります。

 もう一つ、軽くても重くても浮腫みが出たら重いと見ます。

 これで一応、軽いか重いか分けておきます。

何でも重いのを飲ませたら、良いのではないかというと、重い症状に効く漢方薬は、軽い症状には効きません。

 ですから、まず一つでも重い症状があったり、むくんだりすれば重いと見なします。

 もし、全部軽い症状で、一つも重いものがなく、我慢して仕事にも行ける、という程度なら軽いと見ます。風邪をひいたり、急性肺炎といった症状があれば「衛分」です。そして、「衛分」と決まったら、まず、重い症状と軽い症状に分けるのです。

 


 

「衛分」の軽症 

 

 軽いと決まったら、今度は、「熱証」と「寒証」に分けないといけません。どう分けたらいいのでしょうか。熱が出ている時は、寒気を伴う場合があります。熱と寒気が出て、火照った感じが強いなら「熱証」、寒気が火照った感じよりも強ければ「寒証」となります。ですから、体温計は必ず38度以下であることです。それ以上ならば、重い方になります。体温計で37度以上あったとしても、火照った感じと寒気比べて、火照った感じが強いなら「熱証」、寒気が強いなら「寒証」です。寒気がぜんぜんしないなら、もう「熱証」で間違いありません。

 ところが、熱がぜんぜん出ていないと火照った感じがしません。すると、ここでは決められません。決められない場合、あとどういう決め手があるかというと、もし、咳をしていたら、痰がぜんぜんないのが「熱証」、あるいは痰が粘っこいのが「熱証」です。痰が水っぽくて多いのが「寒証」になります。

そうすると、時には、熱もしてない、咳もない、ただ頭痛がするだけ、という、「熱・寒」が分かりにくいという場合もあります。あるいは、発疹が出ているだけ、という場合もあります。こういう場合には、今、飲み物を飲むとして、冷たいものを飲みたいか、暖かいものを飲みたいか、これで決めます。「どちらでもいい」 と言っても、「どちらがどちらよりも良い」、というところで判断します。

それでもどうしても、両方同じくらいだという場合は、日ごろ便秘しやすい方か、下痢しやすいほうか、判断します。どっちもしないという場合、何か狂った時は、下痢か便秘か、で見ます。しかし、たいていは、飲み物で決まるはずです。

もう一つ飲み物以外に、これから冷房と暖房をつけるけれども、どちらがいいか、という見方もあります。冷房に行きたいなら「熱証」、暖房に行きたいなら「寒証」です。

この質問であれば「熱証」、この質問であれば「寒証」と、診断が分かれてしまう場合には、どうするのでしょうか。

診断の優先順位は、体そのものから採れた情報ならば、分泌物や排泄物よりも優先します。

たとえば、冷たいものが飲みたいけれども、水っぽい痰が出るならば、この人は「熱証」です。痰は「寒証」を示しているけども、痰は分泌物ですし、飲みたいのは人間が飲みたいからです。

身体の優先、全体の優先、状態の優先、この順番です。そして「熱証」と決まったら、使う方剤は必ず、梔子、黄芩を使います。

「寒証」ならまだ決められません。次は「実虚」を決めなくては行けません。この人は「実証」か「虚証」かです。

この診断の所はしっかり覚えていただかないと、診断ができません。どんな薬が入っているかは、今、急に覚えていただかなくてもいいです。何々湯を使うと分かればいいのです。何が入っているかは、ツムラの手帳(ツムラ医療用漢方製剤・一覧)をめくれば書いてあります。覚える必要はないです。ただ、診断の方法は手帳にはありませんから、自分でやらないといけません。

「熱証」か「寒証」か決まった後、「実証」と「虚証」の決め方は、まず熱が出ている時に汗がぜんぜん出ないのが「実証」です。汗が出るのが「虚証」です。また日ごろ胃腸が丈夫なのは「実証」、日ごろから胃腸が弱いのが「虚証」になります。感冒に伴って下痢したら「虚証」、便秘したら「実証」です。

それから病人のわりに、元気なのが「実証」、相当衰弱しているのが「虚証」です。

この条件では「実」、この条件では「虚」となれば、先ほど言ったように、この情報はどこから採った情報か、それによって情報を比較して「実虚」を決めていくわけです。そうして、「熱寒」を分け、「実虚」を分けていくと、軽い場合には、「熱実・熱虚・寒実・寒虚」という四タイプの症状に分類できます。

 

 

「衛分」・軽症・「熱実」  ―  「清上防風湯」(58)

 

軽症で「熱実」の人は、梔子、黄芩に、さらに枳実、桔梗、防風、荊芥、連翹、薄荷、川弓、白芷、黄連などが入り、これを合わせて「清上防風湯」と言います。

きちんと、生薬を煎じて飲ませる場合もありますから、処方のグラム数を書いておきます。

黄芩4、黄連2、防風4、荊芥4、連翹4、薄荷4、川弓2、白芷2、梔子2、枳実2、桔梗2。

そして、それぞれの薬の役割は、次のようになります。

 

黄芩+黄連   熱   火

防風+荊芥 表   実  風   収

連翹+薄荷 表 熱 実 風   収

川芎+白芷       風   収

梔子+枳実   熱 実 火     升

桔梗     実 火 痰 収

   ―― 表 熱 実 火風 痰 収 升

    

結果的に、これは、「表・熱・実・火(風)・痰・収・升」を治す方剤だということがわかります。

 

 「清上防風湯」(58)は、ツムラから出ていますが、効能書きには「にきび」とだけ書いてありますから、にきび以外の人には保険が効きません。

 実際に、この方剤が治せるのは、「熱実」タイプの人の、風邪、アトピー性皮膚炎などのアレルギー、痛み、かゆみ、それから「火邪」、炎症。痰、咳とか痰。「升」これも咳とか興奮。「収・熱」を治します。

今は、ただ、感冒が軽いとすると、まず「熱寒」で分けたら「熱」、「実虚で」分けたら「実」、ならば、「清上防風湯」を処方したら良いのです。中に何が入っていて、どういう作用するかは、だんだん勉強するとして、嫌だったら勉強しないとして(笑)、メーカーの「清上防風湯」を飲ませたらたらいいのです。もしくは、薬草を煎じて飲ませたらもっといい。「どうしてわざわざそんな面倒くさい。エキス剤飲ませたらいいじゃないか」と言いますが、ツムラの手帳のグラム数、ご覧の通り、この分量は全部間違ってるんですね。これは厚生省が決めた。厚生省の中には漢方を知っている人がいないから。だから今、厚生省つぶされてしまって、厚生労働省とやらになった。今まで禄でもないことばかりやってきたから。

薬害エイズだ、C型肝炎ウイルスだ、と騒ぐけど、厚生省の漢方行政で、どれぐらいの人が死んだか、どれぐらいの人が被害を受けたか。本当の事を言えば、とても非加熱製剤の比ではないでしょう。

 

 

 

「衛分」・軽症・「熱虚」  ―  「辛夷清肺湯」(104)

 

今度は、軽症の「虚」の場合。

「表」だから、熱やら発疹が出たとか、頭痛がしたとか、咳が出たとか、これが「表」ですね。

「熱」、火照った感じはするけれど、寒気はしない。冷たいものを飲みたい。

エアコンにかかりたい。咳が出ても痰が出ないか出ても粘っこい、こういう人。

日ごろから胃腸が丈夫で、汗が出ない、体力があるなら、「実」ですから「清上防風湯」を使います。

ところが、「熱」まで同じですけども、日ごろから体力がない、あまり胃腸も丈夫でない、汗が出る、こういう場合は、「虚」ですから、梔子、黄芩、石膏、知母、升麻、辛夷、百合、杷葉、麦冬を組み合わせます。これを「辛夷清肺湯」と言います。

梔子というのは前、お話しました、いわゆるクチナシの実ですね。黄芩は小金花(コガネバナ)の根。石膏は石膏像の石膏。知母はなじみのない人がいるでしょう。辛夷とはコブシの花ですね。百合はユリの根っこ。杷葉はびわの葉っぱ。麦冬は麦門冬という植物。

分量は、

梔子2、黄芩2、石膏4、知母4、升麻2、辛夷4、百合2、杷葉4、麦冬4、甘草2。

 

それぞれの薬の働きは、

甘草 表

梔子   熱   火     升

黄芩   熱   火             

石膏   熱   火

知母   熱 虚 火

升麻 表 熱       収

辛夷 表     火 痰 収

百合 ―   虚   痰   升

杷葉 表 熱       収

麦冬 ― 熱 虚   痰 収

  表 熱 虚 火 痰 収 升

 

「辛夷清肺湯」(104)は、ツムラから出ています。効能書きには、ただ「鼻詰まり、慢性鼻炎、蓄膿症」とありますが、その点では「清上防風湯」も効きますし、「清上防風湯」に書いてある、「にきび」も、「虚証」の人なら、この処方でも効きます。

こちらの効能書きを向こうに持っていったって、向こうの効能書きをこちらにに持ってきても、同じ事。違うのは「実・虚」ですが、何の区別も書いてありません。

 

「衛分」・軽症・「寒実」  ―  「川弓茶調散」(124)  

 

軽症の「寒」の場合。実証には、「川弓茶調散」を用います。

香附4、川弓4、荊芥4、防風4、薄荷2、茶葉2、白芷4、羌活2、甘草2

薄荷は西洋医学では、鼓腸、つまり、お腹が張って、たたいたら音がするような時に、よく薄荷を使うんですね。茶葉は普通の紅茶の葉のこと。

 

香附+川芎      寒   風 鬱 収

荊芥+防風    表 寒 実 風   収 

薄荷+茶葉    表   実 風   収

白芷+羌活      寒 実 風 鬱 収

甘草    表

表 寒 実 風 鬱 収

 

「川弓茶調散」(124)は、ツムラから出ていまして、効能書きには「かぜ、血の道症、頭痛」とだ書かれています。

確かに、頭痛にものすごく効果があり、どういう症状かといいますと、感冒、風邪ひいた、熱が出たり、頭痛がしたり、咳が出たり、発疹が出たりする場合の軽いもの。そういう一過性の症状がある、その中で、寒気がする、そして実、汗が出ない、体力がある、胃腸が問題ない場合に、これが使われます。

風邪、頭痛、にはよく効くと。「血の道症」というのは多分効かないと思います。女性のいわゆる生理とか。非常に俗っぽい言い方ですよね、医学書に「血の道症」と書くのも。

 

 

 

「衛分」・軽症・「寒虚」  ―  「参蘇飲」(66)

 

軽症で「寒虚証」の場合だと、「参蘇飲」が用いられます。

甘草、これは漢方の第一歩ですよね。半夏、これは一種の鎮吐鎮咳剤、咳を止める、嘔吐を止める薬。

茯苓、これは、サルノコシカケ。前胡、これは咳止め。大棗、これはナツメ。ナツメは滋養強壮剤。

枳実、桔梗、葛根、蘇葉は紫蘇の葉、陳皮はミカンの皮。

分量は、

甘草2、桔梗2、半夏4、前胡2、大棗4、人参2、茯苓2、枳実2、葛根4、蘇葉4、陳皮4、生姜2

 

甘草+桔梗 表     火 痰

半夏+茯苓     虚   痰 升

前胡+枳実         痰 升

大棗+人参      寒 虚

葛根+蘇葉    表     風     収

陳皮+生姜      寒     痰   収

表 寒 虚 火風 痰 升 収

 

「参蘇飲」(66)。効能書きには「感冒、咳」とだけ書いてありますが、全ての感冒に効くわけではないし、全ての咳に効くわけではありません。軽いもの、軽い感冒の中の「寒証」で、火照った感じがしないで寒気が強くて、また「虚」ですから、体力がないとか、汗が滲み出るとか、そういう場合。

 

 まだ面倒くさいと思う方は、これだけをしっかり覚えてください。つまり、風邪ひきとか、なんとなく熱が起こったとか、ブツブツが起こったとか、そういう症状が軽い場合、「熱寒」を分けて、「実虚」を分けて、「熱実・熱虚・寒実・寒虚」になる。そういう場合、「熱実」には「清上防風湯」、「熱虚」には「辛夷清肺湯」、「寒実」には、「川弓茶調散」、「寒虚」には「参蘇飲」。まずこういうふうに覚えてください。

全く始めての人は、軽症の四つを先に覚えておいて、重い患者はお医者さんに行かせる(笑)

これ薬局で、どれでも全部売っています。この四湯は妊娠中でもかまわない。

いくら妊娠しても「熱寒」は変わりませんが、妊娠中は、よく「虚」になる場合がありますから、それを「実」と勘違いしないこと。体ががっしりして、強そうに見えても、いろんなこと聞いて見て、「虚」の疑いがあるかどうか、これだけはちょっと気をつける必要があります。軽い方は、とにかくこの四種類ですね。

 

 

 

「衛分」の重症

 

 今度は重い方。いくつかの条件で一つでも重いものがある場合。たとえば、熱が38度以上あるとか、頭痛もちょっと痛いんじゃなくて、ズキンズキンくるとか。咳だったら、咳しているのが他人にも分かる。発疹なら体全体に出る。浮腫がある。こういう時には、少々分類がややこしくなります。

重いんだから仕方がないですね。薬間違えたら副作用が出るし、効かないし。

もともと「衛分」の薬は全部甘草が入っています。

だから重い場合も同じ。重い場合もまず最初に「熱寒」を診断します。

 優先順序からいいますと、まず顔を見ますよね。真っ赤なら「熱証」だし、真っ白なら「寒証」だし。

その他、冷房の中投げ込んでやろうか、暖房の中投げ込んでやろうか、究極の選択で、どちらか一つ出せというならどっちだと。いや、それどちらも平気だと言うなら、たとえば、火照っている感じと、悪寒・寒けどっちがひどいか。何か飲むとしたら、温かいの、冷たいの、どっちを飲みたいか、そこで「熱寒」が決まるわけです。

「熱」と決まった人には、もともと風邪には甘草が入るから、甘草にさらに石膏を入れます。

 

 「寒証」なら、甘草に桂枝をいれます。日本の薬局はあまり桂枝売ってないですね。売っているのは桂皮、健胃剤で、あまり風邪には効かないし、熱が下がらない。これも厚生省が決めているんですね。桂枝があったら、SARSもインフルエンザも怖くないんですが、どうしてもワクチンやタミフルを売りたいんですね。

さらに「実虚」を分けます。体力があれば「実」、体力がなければ「虚」。

普段から胃腸が丈夫なら「実」、普段から胃腸が弱ければ「虚」。

普段から汗を掻きやすいのが「虚」、あまり汗が出ないのが「実」

汗が滲み出ているのが「虚」、汗が出ていなければ「実」。

「熱」と分かったときに甘草、石膏が入る。「実」なら甘草、石膏に麻黄を入れる。

石膏とか麻黄とかいうのは胃腸障害を起こしますので、胃腸を保護する意味で、生姜、大棗が入れられます。「虚」なら甘草、石膏に、知母と粳米を入れます。これは補薬で「虚」に効く薬ですね。

「寒証」では、甘草、桂枝と決まっております。「実証」なら麻黄と杏仁。すると甘草、桂枝、麻黄、杏仁となりこれは、「麻黄湯」になります。

「虚」なら、甘草、桂枝に、炒芍、生姜、大棗を入れて、こういう組み合わせを「桂枝湯」と言います。

 

「衛分」・重症・「熱実」    ―  「越婢湯」

 

重い症状で「熱実」の場合に、「越婢湯」が用いられます。

「衛分」だから甘草、「熱証」だから石膏、「実証」だから麻黄を入れた後、胃腸保護として生姜、大棗を入れます。

分量は、甘草2、石膏10、麻黄4、生姜2、大棗2

 

生姜+大棗  (胃腸保護)

甘草+石膏 表 熱

麻黄 表   実 風   収

表 熱 実 風 升 収

 

「越婢湯」というのはツムラさんから出されておりませんが、代わりに「越婢加朮湯」(28)というのが出ています。つまり「越婢湯」に白朮が入っている。それは仕方がない、そのものずばりが出されておりませんから、「越婢加朮湯」(28)を代用品として使います。効能書きには、「浮腫と汗が出て小便不利のあるものの次の諸症:腎炎、ネフローゼ、脚気、関節リウマチ、夜尿症、湿疹」とあります。

白朮ですから、浮腫、にはいいんですが、麻黄が入っていますから、汗が出たら使っちゃいけない。

だから薬効の表示に、どう使ったらどういう危険があると、警告しているけど、自分のところが間違ったことを書くから、変な副作用が起きるんですね。

汗が出ていたら、麻黄なんか飲んではいけません。

 

 

「衛分」・重症・「熱虚」  ―  「白虎湯」 

 

次ぎに「虚」の場合、つまり体力がない場合、「白虎湯」を使います。

これはもともと甘草、石膏が入ってるところに知母、粳米を用います。

ですからその薬物構成は、感冒だから甘草が入っている。「熱証」だから石膏が入っている。「虚証」だから知母と粳米が入ります。

分量は、

甘草2、石膏4、知母4、粳米8。

 それぞれの薬物の役割は、

 

甘草+石膏 表 熱

知母+粳米      熱 虚 火 升 収

表 熱 虚 火 升 収

 

「白虎湯」もツムラさんから出ていませんが、これに似た処方で「白虎人参湯」(34)というのがあります。つまり、人参が余計に入っているんです。これを代用品として使います。

効能書きには、「のどの渇きと火照りのあるもの」とだけ書かれていますが、冗談じゃない。これは感冒で、すごい熱が出て体が弱ってるときに使うもので、咽喉が渇いたらコーラかなんか飲むし、火照ったら冷房に入るし、だれがこんなもの飲みますか。

胃腸の虚弱の患者には、胃の不快感、軟便、下痢が現れる。つまり「寒証」の人ですね。だから「熱寒」の診断はきちっとしないといけない。

 

 

「衛分」・重症・「寒実」   ―  「麻黄湯」(27)

 

「寒証」の場合、甘草と桂枝が入って、「実証」だと、その実を治すために麻黄、杏仁が入ります。これを「麻黄湯」(27)といいます。

感冒だから甘草、「寒証」だから桂枝、「実証」だから麻黄と杏仁を入れます。

分量は、

甘草2、桂枝8、麻黄4、杏仁4

 

甘草+桂枝    表 寒

麻黄+杏仁    表 寒 実 風 痰 升 収

表 寒 実 風 痰 升 収

 

「麻黄湯」(27)は、ツムラから出ています。効能書きには、「悪寒、発熱、頭痛、腰痛、自然に汗の出ないものの次の諸症」、ここまでは、珍しく全部正しいですね(笑)

「感冒、インフルエンザ(初期のもの)、関節リウマチ、喘息、乳児の鼻閉塞、哺乳困難」これはちよっといただけない、乳児に「麻黄湯」なんか飲ませるなんて。「哺乳困難」で面倒くさいからいっそ殺してしまえとでもいうのか(笑)

これは正真正銘の「寒実」でないと胃腸障害を起こします。「熱実」の人は桂枝、麻黄の熱性による胃腸障害、「虚」の人はその瀉性による胃腸障害を起こします。。

杏仁(キョウニン)は杏仁豆腐の材料ですね。いろんな所で講義していると、お医者さんに杏仁(アンニン)は?と聞かれたりする。それは皆でそう読んでしまえば、それでいいんですけど。

 

「衛分」・重症・「寒虚」    ―  「桂枝湯」(45)

 

「虚証」には、「桂枝湯」が用いられます。

つまり、感冒だから甘草、「寒証」だから桂枝、「虚証」だから、炒芍に生姜、大棗を用います。

 分量は

甘草2、桂枝6、炒芍4、生姜4、大棗4

 

甘草

桂枝 表 寒        (寒証の風邪)

炒芍     虚 風 升        (痛み)

生姜   寒       収 (体を暖める)

大棗     虚   升

表 寒 虚 風 升 収

 

「桂枝湯」(45)はツムラから出ています。効能書きには、「体力が衰えたときの風邪の初期」とだけあります。「虚証」だから体力が衰えたのでしょうが、本当は、「寒証」が大事ですね。

胃腸が日ごろから弱くて、風邪をひいたら、がっかりして体力がなくなった場合に用いられます。

 

 以上が、重症の場合の基本的な方剤です。 

ただ重症ですから、四分類だけと、そう簡単にはいかない。軽い場合は、四種類に分けていいですが、重い場合は、やはりこの四種類でいいかというと、条件があります。

一つは、高熱がない。つまり、重いというのは、熱ゆえの重さじゃない。激咳がない。激しい咳がない。だから重いというのは、咳のためじゃない。

浮腫(浮腫)がない。では何が残るかというと、その激しさは頭痛とか、体が痛むとか、そういうふうな場合。

これが高熱だったら、この下に分類している、「収」を使わないといけません。

「越婢湯」「白虎湯」「麻黄湯」「桂枝湯」は、高熱がない。激咳がない。浮腫がない。この三条件の中で使う。

三条件のうち、高熱があったら、分類の下の「収」を使います。熱がこもって出ていかないんですね。だから発散するのを使う。

激しく咳するなら、これは肺でおとなしくしていればいい空気が勝手に昇ってくる。だから咳になる。これを「升」という。だから降のいっぱい入った薬を飲ませないといけない。

浮腫のあるときは、これを「湿」と言います。だから「湿」を取る「燥」のくすりを与えないといけない。

 

風邪になって、ものすごい症状があって、しかし、このものすごい症状は高熱でもなければ、咳でもない、浮腫のない場合、最初に申し上げた四つの処方を使います。

 

「熱実」には「越婢湯」。

「熱虚」には「白虎湯」。

「寒実」には「麻黄湯」。

「寒虚」には「桂枝湯」。

 

ツムラさんのエキス剤を使う場合は、

 

「熱実」には「越婢加朮湯」(28)

「熱虚」には「白虎人参湯」(34)

「寒実「には「麻黄湯」(27)

「寒虚」には「桂枝湯」(45)

 

それでは、高熱がある場合、咳がある場合、浮腫がある場合どうするか。

高熱がある場合に、「熱実」で、熱が高いなら「大青竜湯」を使います。

分量は、

甘草2、石膏8、麻黄4、生姜2、大棗2、杏仁4、桂枝2

 

一見して分かりますように、「越婢湯」に杏仁と生姜と桂枝を加えたもの。これを「大青竜湯」といいます。

このように、これから勉強していくのに、方剤と方剤の間の関係を知っていけば、一つの方剤を墓本に、いっぱい覚えられる訳ですね。さもなければ、「安中散」から始まって、「苓桂朮甘湯」まで覚えるころには「安中散」は忘れてしまう。そうじゃなくて、こういうふうに手がかりで広げていけば覚えやすい。

世の中の人面白いですね。どうして漢方の勉強するときに、一つの手がかりからどんどん広げないで、それで足踏みして前に進まないのか。これが総会屋だったら、一つの手がかりを掴んだら、どんどん広げていきますよね。なんか広がっちゃいけないものが広がって、広がるべきものが広がらない。

 

症状が重い場合。高熱、激しい咳、浮腫がない場合、「熱実」に「越婢湯」。「熱虚」なら「白虎湯」。「寒実」に「麻黄湯」、「寒虚」に「桂枝湯」というふうに申し上げました。

 今度は、高熱、激しい咳、浮腫がある場合の方剤を説明します。

 

 

   「衛分」・重症・「熱実」・「収」高熱あり  ―  「大青竜湯」

 

まず、高熱のある場合は「大青竜湯」。

「大青竜湯」の分量は、

甘草2、石膏8、麻黄4、生姜2、大棗2、杏仁4、桂枝2

 

一見して分かりますように、「越婢湯」に杏仁と生姜と桂枝を加えたものです。

結果的にこれは、ほぼ変わりがありませんが、桂枝を入れたために発散力が強くなり、汗がうんと出て、熱がすぐに下がることになります。

 

越婢湯 表    熱 実 風   升 収

杏仁 表      実   痰 升

桂枝 表                     升 収

表 熱 実 風 痰 升 収

 

「大青竜湯」は、ツムラから出ていません。

メーカーさんの方剤を使う場合、複数の製剤を組み合わせれば、ほぼ同じ効果が得られます。

まず「麻杏甘石湯」(55)というもので、石膏、甘草、杏仁、麻黄が入っています。

メーカーの製剤は、普通一日分7.5グラムを使います。つまり2.5グラムを三回飲むわけです。

そこで、「麻杏甘石湯」5グラムと、それから昨日紹介されました「桂枝湯」(45)を2.5グラム、両方をよく混ぜて、2.5グラムずつ三つに分包すると、「大青竜湯」に非常に近い、ほとんど必要な薬が全部入って、ただ芍薬が余計に入っているだけですから問題ありません。こういうふうに使えばいいのです。

 

「麻杏甘石湯」(55)の効能書きには、ただ「小児ぜんそく、気管支ぜんそく」とだけ書かれており

ますが、気管支喘息にはいいんですね。効果がある。小児喘息は、ちょっと子供にこんなもの飲ませるというのは、やはり考え物で、だからまあ日本の漢方行政というのは、一言で言えば厚生省とお医者さんとメーカー、三者一体の殺人システムのようなものですね。こんな麻黄だの杏仁だのが入っているものを子供に飲ませるなんてとんでない話ですね。

あるいは、そこに教育政策が入っているかもしれない。子供が大きくなったら非行化するから今のうちに殺しとこうというつもりかもしれません。

 

 

 

 

「衛分」・重症・「熱虚」・「収」高熱あり   ―  「升麻白虎湯」

 

重症で「熱虚」ですから、本来なら「白虎湯」を飲むべき人ですが、ひどく熱が高い場合、「升麻白虎湯」を与えます。

 分量は、

甘草2、石膏4、知母4、粳米4、生芍2、葛根6、升麻2、生姜2

 

要するに、「白虎湯」に葛根、生姜、生芍を加えたものです。

 

白虎湯 表    熱 虚 火 升 収

葛根

升麻 表    熱       収

芍薬       風         収

生姜        表   痰       収

表   熱 虚  風痰 升 収

 

「升麻白虎湯」はメーカーから出されておりません。ですからメーカーさんの方剤を使うなら、昨日紹介した「白虎人参湯」(34)を代用すると、「白虎湯」に余計に人参が入っているだけ。それから「升麻葛根湯」(101)というのがあって、効能書きには、「感冒の初期、皮膚炎」となっております。大筋は間違いないでしょう。そこに入っているのは、葛根、芍薬、升麻、甘草、生姜となっております。すると、この二つ合わせると、ちょうどこの組み合わせに余計人参が入っているだけですね。この二つの処方を半分づつ混ぜ合わせて飲ませる。そうすると、高熱が下がるようになる。日本のお医者さん、よく二つの方剤を合わせて使うんですが、その時はよく理屈が適った使い方しないといけない。物事には理屈がある。だからこういうふうに理屈が必要です。漢方だけじゃなく世の中みな理屈が必要ですね。

 

 

「衛分」・重症・「寒実」・「収」高熱あり   ―  「葛根湯」(1)

 

「寒実」の場合、基本は「麻黄湯」です。「麻黄湯」も、熱に対する効果がありますが、高熱の場合は、熱を下げる作用をもっと強くして、さらに胃腸を保護するような薬を加えるべきです。

「葛根湯」の分量は、

甘草2、桂枝4、麻黄4、炒芍2、生姜2、大棗2、葛根8

 

「葛根湯」とは、まず「麻黄湯」があり、「表・寒・実・風・痰・升・収」を治しますが、そこから杏仁を抜きます。なぜなら、大棗や芍薬も入るから。

杏仁は「実」とか「痰」や「升」を治す作用ですが、それが大棗や芍薬が入るのでもう要りません。「葛根湯」を組む時、「麻黄湯」からきちんと杏仁を抜く。なぜ杏仁を抜くか。杏仁の「痰」の部分は、生姜がある、「升」の部分は芍薬があるし大棗があるから。これで杏仁があったら下痢の原因になるんですね。

 

桂枝湯 表 寒 虚 風  升 収 

炒芍       風  升

生姜        寒    痰   収

大棗          升

葛根 表        風    収

表 寒 実 風痰 升 収

 

「葛根湯」(1)は、ツムラから出ており、効能書きには、「自然発汗がなく頭痛、発熱、悪寒、肩こり等を伴う比較的体力のあるものの次の諸症:感冒、鼻かぜ、熱性疾患の初期、炎症性疾患(結膜炎、角膜炎、中耳炎、扁桃腺炎、乳腺炎、リンパ腺炎)、肩こり、上半身の神経痛、じんましん」とあります。

葛根湯医者という言葉がありますが、これだけいろいろ書いてあるから、保険適用には問題がないのですが、問題は、桂枝でなく桂皮が入っていることで、桂皮ではあまり熱が下がらないのです。

また、「結膜炎、中耳炎」とありますが、中耳炎は、本当は「葛根湯」を飲んじゃいけないんですね。却って悪くなる可能性があります。

漢方医が処方箋をきった時、うまいか下手かは、使う薬が、いつも七種類以内なら相当上手ですね。七種類から十種類ならまあまあですね。十種類以上ならヤブ医者と考えていい。

だから、中国から日本の病院へ来ている中医師がいます。はっきり言ってほとんどがヤブ医者ですね。

中国という国は人材出さないんです。人材鎖国の国。日本辺りじゃ出してくれない。出してくれるのは、昔の香港、今の台湾。台湾でよく人材貰いに行くんですね。

「おたくの卓球選手は強いから、誰か一人よこせ」と。これを世界選手権に出す。そしたら準優勝。台湾で育てた選手じゃそうはならないのです。中国からもらって来たんですね。向こうの選手も台湾へ行けるから、大喜びで来るんですね。京劇の役者も来ています。ところが、物理学者。中国が世界的レベルを持っているのは数学と物理学。ところが、社会科学とか心理学、これはもう、×が四つ付くぐらいレベルが低い。レベルが高いのは数学と物理学。世界で数学オリンピックやると、一番から七番は全部中国ですね。つまり思想が絡まない分野は強いんですね。

逆の意味で、中医学者を貰うのもだめですね。30種類ぐらいの生薬で処方する。そしたらお互いに効果を相殺しあって効くわけがありません。

 

「衛分」・重症・「寒虚」・「収」高熱あり   ―  「桂枝葛根湯」

 

高熱があり、「虚証」の場合、「桂枝葛根湯」を使います。

 分量は、

甘草2、桂枝4、炒芍2、生姜4、大棗2、葛根8

 

要するに「桂枝湯」に「葛根」を加えたものです。

 

桂枝湯 表 寒 虚 風 痰 升 収

葛根 表     風     収

表 寒 虚 風 痰 升 収

 

「桂枝葛根湯」はメーカーから出されておりません。「葛根湯」を「虚」の人が使いますと、麻黄の影響で食欲不振になりますから、「葛根湯」(1)を2.5グラム、それから「桂枝湯」(45)を5グラム混ぜ合わせてから三等分します。ツムラ葛根湯の麻黄は、一回分では1グラムしかない。1グラムを三回に分けて飲むと、「虚証」の人が麻黄を飲むのはよくないけれど、一回0.3グラムしか飲んでいませんから、余計なのが入っ来るけど、なんとか使えます。

 

「衛分」・重症・「熱実」・「升」激咳あり    ―  「五虎湯」(95)

 

重症の「熱実」で、咳が激しい場合には、「五虎湯」が使われます。

分量は、

甘草2、石膏8、麻黄4、杏仁4、桑皮2

 

これは「越婢湯」から生姜、大棗を抜いたものに、杏仁、桑皮を加えたもの。

「越婢湯」の「表・熱・実・風・痰・升・収」を治す作用から、生姜、大棗の一組を抜きます。なぜか。

生姜、大棗は消化器の保護のために入れていますが、この「五虎湯」というのは、咳がとれたらもう飲まない薬です。短期しか飲まないから、胃腸障害を起こす前にやめてしまいます。

殊にこれは「実証」の人向けですから、あまり胃腸障害がありません。逆に、余計なものを入れると、薬の効果が薄れます。

それから、咳ですから、杏仁と桑皮を入れます。

杏仁は、「表実痰升」を治します。

桑皮は「表・熱・実・風・痰・升・収」を治します。

 

越婢湯 表 熱 実 風  升 収

(生姜・大棗を除く)

杏仁 表   実  痰 升     

桑皮 表 熱 実 風痰 升 収  

表 熱 実 風痰 升 収

 

「五虎湯」(95)というのは、メーカーから出されております。効能書きには、「咳、気管支ぜんそく」とだけ書かれております。だから適応症は問題ないのですが、これは「熱実」の人の薬で、「虚証」とか、「寒証」の人が飲んだら、咳が止まる前に腸がおかしくなります。

 

 

「衛分」・重症・「熱虚」・「升」激咳あり    ―  「柴胡石膏湯」 

 

「熱虚」の人で、咳が激しい場合どうなるか。その場合は、「柴胡石膏湯」が用いられます。

分量は、

甘草2、石膏4、知母4、柴胡2、黄芩4、半夏4、生姜2、大棗2、人参2、桔梗4

 

知母までがちょうど、「白虎湯」から粳米つまり玄米を抜いたもので、なぜ玄米を抜いたかというと、玄米の作用は「補」、つまり体力を付けるために入れられる。じゃ体力つけなくていいのかというと、そうではなくて、人参が入っているから。もっと強力に「補」の作用があるから要らないんですね。

 

生姜+大棗    (胃腸保護)

白虎湯    表 熱 虚  火  升 収

(粳米を除く) 

柴胡    表 熱   風     収

黄芩      熱    火  升

半夏      熱     痰 升

桔梗        火痰   収

人参     虚

表 熱 虚 風火痰 升 収

 

 「柴胡石膏湯」はツムラから出ていませんが、「小柴胡加桔石湯」(109)というのがあって、中の組み合わせが、石膏、柴胡、半夏、黄芩、桔梗、大棗、人参、甘草、生姜とあり、わずか知母が足りませんが、それでもこれを使えばいいわけです。

効能書きには、「咽喉が腫れて痛む、扁桃炎」と書いてありますが、半夏や桔梗があるから、咳を止める作用があります。

 

 

「衛分」・重症・「寒実」・「升」激咳あり    ― 「小青竜湯」(19)

 

「寒実」で重症の咳には、「小青竜湯」を使います。

分量は、 

甘草2、桂枝4、麻黄4、乾姜2、細辛2、半夏6、炒芍4、五味2

 

麻黄湯 表 寒 実 風 痰 升 収 (杏仁を除く)    

乾姜   寒  

細辛   寒 実――湿  升 収

半夏        湿痰 升

炒芍       風   升

五味           升

表 寒 実 風湿痰 升 収

 

「小青竜湯」(19)はツムラから出ています。効能書きには「1下記疾患における水様の痰、水様鼻汁、鼻閉、くしゃみ、喘鳴、咳嗽、流涙 気管支喘息、鼻炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、感冒 2 気管支炎」、とあります。「水様鼻汁」だから杏仁を抜いたんですね。「鼻閉、くしやみ」、大体書かれているのは、これでいいわけです。要するに「寒実」の人の咳を治すものです。

 

 

「衛分」・重症・「寒虚」・「升」激咳あり    ―  「桂枝香蘇湯」

 

「寒虚」で咳が激しい人には、「桂枝香蘇湯」が用いられます。

 分量は、

甘草2、桂枝4、炒芍4、生姜2、大棗2、香附4、蘇葉4、陳皮4

 

一見して分かりますように大棗までが「桂枝湯」ですね。「桂枝湯」に、香附、蘇葉、陳皮を加えたものです。

 

 

桂枝湯 表 寒 虚 風痰 升 収

香附+蘇葉 表 寒   風痰 升 収

陳皮      寒        収

表 寒 虚 風痰 升 収 

 

「桂枝香蘇湯」はメーカーから出されていませんので、「桂枝湯」(45)と、「香蘇散」(75)同量で混ぜ、これを半分に分けて使います。

 

 

「衛分」・重症・「熱実」・「湿」浮腫みあり   ― 「越婢加朮湯」(28)

 

浮腫みがあり、「熱実」の場合は、「越婢加朮湯」を使います。

分量は、

甘草2、石膏8、麻黄4、生姜2、大棗2、蒼朮4

 

これは「越婢湯」に蒼朮を加えたものです。これは「表熱実」の人の浮腫を取ります。

 

越婢湯 表 熱 実 風痰 升 収 

蒼朮 表   実  痰   収

表 熱 実 風痰 升 収

 

「越婢加朮湯」(28)はツムラから出ています。効能書きには「浮腫と汗が出て」とありますが、「熱実」ですから、むしろ汗が出たら使えないですね。続いて「小便不利のあるものの次の諸症:腎炎、ネフローゼ、脚気、関節リウマチ、夜尿症、湿疹」と、ありますけど、要は浮腫があって汗がない場合ですね。

メーカーからちゃんと出されておりますので、これを使えばいいです。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・引用終わり

 

以上のように、熱・寒・実・虚 の見分けさえできれば、

新型コロナウイルス肺炎やSARS、その他、季節性インフルエンザなどにも

非常に効果的に、漢方薬を使い分けることができます。

現在、中国当局の推奨する処方もありますが、

処方箋1:蒼術3g、金銀花5g、陳皮3g、蘆根2g、桑葉2g、生黄芪10g。
処方箋2:生黄芪10g、炒白術10g、防風10g、貫衆6g、金銀花10g、佩藍10g、陳皮6g。

熱・寒・実・虚 の分類が入っていませんから、あまり効果が期待できません。

いずれにしろ、ウイルスそのものに対処できる漢方薬は存在しませんし、

感染しても症状の出ない人には使えません。

 

詳しくは、下記の書籍、ビデオをご覧ください。

  『方剤大観』       (上・下) 

 
 
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 『中国医学基礎講座』(DVD・5巻=262,500円) で、テキストとして使用します。

中国医学志す人びとが一気に「医鍳」の境地に至る近道であり、順序良く学ぶことによって、最高レベルの中国医学の学識と技術が身につくように構成されている講座。「医鍳養成講座」とも言います。

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SARSの流行時、台湾国民は西洋医学を信用せずに中医学へ走った?!漢方と漢方薬の違い、西洋医学と中医学の違い、漢方的方法論とは何かなど、中医学の基本から遡ってSARSの感染症への対策法を講義する。

 

 

 

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         〒384-0801 長野県小諸市甲4655-15 中国占術研究所

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