張明澄先生講義 平成6年11月13日
南華密教講座 第一回
講義要録 掛川掌瑛
南華密教とは、主に中国揚子江地方に伝えられた仏教の一派である。
「西遊記」は仏教が弾圧された時代に、密かに南華密教を布教した秘伝書。
*中国の華北の勢力-南に進む→揚子江地方の人達→ベトナムなどへ逃げる。
春秋時代ごろに、揚子江地方から日本の九州に移り住んだ人々があった。
媽祖(まそ)の別名、娘媽(のま)を祭った野間神社が鹿児島にある。
日本人は弥生時代に朝鮮から来た人々と、縄文時代の先住民とが混血したもの。
縄文人はアイヌと沖縄にだけ混血せず残った。
京都の旧家などで縄文人そのままの顔立ちの人たちも残っている。
朝鮮人は満州南部の民族が移住した遊牧民。
日本人は朝鮮半島を追われてきたから、逆に侵略したがるようになった。
日本民族は最初から農耕民族で、遊牧の経験がない-世界的に異質
〇西遊記の孫悟空は、石から生まれた猿である。
石は頑石、猿は心猿で、無知で洗練されていない人間に心が生まれる事を表わす。 知-智
孫悟空の孫は中国語で猿を意味する 胡孫/猢猻(こそん)から
悟は自分だけ悟る。空は仏経の考え方の内の一段階。
「悟空」は空を悟るという意味。
○お釈迦様の時代には、最初にまず、正しいものは何か、を知ろうとした。
例:日本は言論が自由で治安が良いとは本当か? そうとも限らない。
天皇の戦争責任=長崎市長-狙撃される。
石原慎太郎の本-田中角栄が日本を駄目にした-出版できない-金融界の圧力
日本は銀行の力が強く、言論も支配されている-必ずしも警察が抑圧するわけではない
お釈迦様の時代はバラモン教に絶対の権威があったが、本当か?という問題提起。
〇有=存在、物事を正しくみればどこに位置づけされるか。
分類法 類型学的記号論
最初仏経でこの方法を取ったがすぐに別の方法ができた。
中国では別の方法がでなかった。 格別致知-物を別けて知に至る。
易卦
干支 甲-父 己-娘 など
五行
仏教では、こういう条件で分類しても、絶対的なものとは言えないではないか?
父はその娘からみて「パパ」だが、その両親からみれば「パパ」ではない。
〇空=関係 インドで[0]の概念 - 実体がない、絶対性がない
中国の老荘思想「無」の概念
「関係」とは実体のないもの、「父」といっても絶対性はない。
関係が決まるから実体が決まる。
中国思想はここまで。仏教はさらに発展した。
現代科学-電子と陽子の関係で、鉄であったり金であったりする。
〇識=認識 関係は位置づけできるが、認識によって変化する。
唯識思想 父が娘と思っても、本当の娘とは限らない。
関係と言うのは決まっているとは限らない。
現代科学は空の段階から、識の段階に進んでいる。
ホーキング:宇宙がどうなっているかは人間からみてどう見えるかしか分からない。
宜保愛子と大槻教授-共通の認識=インチキ?
宜保愛子のファン-信じる=違う
高塚 光と患者-共通の認識=念で治った
この範囲では正しいとしか言えない
有から空へは順調に進む。空から識へは難しい
認識が関係を支配するか、関係が認識を支配するか?
〇密 密教=秘密の密ではない。緊密の密ータントラからくる
人間は有限で、学問・知識は無限。単に勉強しても無駄。
いろいろの知識をうまく繋いでゆかなければ役に立たない。
日本のノーベル賞受賞物理学者-カラオケを知らない
どんな研究をしても役に立つものはできない。
例:良くあたる易者、気学しか知らないのに上手に人を指導できる。
奇門遁甲のできる易者-裏目に出る。横の繋がりがないと使えない。
お妾さんが旦那から金をもらうのは、事業家の利益とは違う。
高級な占い-運命学以外の知識をからめていかないと役に立たない。
南華密教-自分の知っているありったけの知識を繋いでゆく。
密教は仏教の最終段階-知識学問の追求より繋ぐ事を重視する。
〇経典・功夫・実学・秘術 これらを繋ぐ→智慧
経典 最低限度、肝心な部分だけは読む。
功夫 人間の潜在能力を引き出す。
実学 日本の問題点-実学が充実してない。
アメリカ大統領-シンクタンク 台湾総統-ハーバードと京大の学位
日本では東大四年程度で政治家になる-非学問的
念力でスプーン曲げ-手で充分曲がる 無駄
実学=現代科学の上に密教の知識・思想を持つのが望ましい
新興宗教-実学の否定 オウム心理教の病院-教祖の写真で治す?
中国の占術-干支の記号で整理した時間に特徴があるという考え-現代科学で否定も肯定もしていない
念力-気功師=現代科学に逆らう
最大限度の念力-チベットの高僧、鉛筆を転がす、針をゆらす-科学で確認
秘術 紙に「蚊」と書いて壁に張ると蚊が集まる-墨に仕掛け
金庫の金を移動させる-物理的に無理のない方法
〇四印 後からの経典ではなく、お釈迦様から直接出たもの
○諸行無常 常=永久
○諸法無我 我=自性 バラモン教-魂=我 釈迦-否定
○一切皆苦
○寂静涅槃 悟り ユング-無意識・意識(フロイド心理学の概念) 中国-知行合一
悟り 悟りには訓練が必要 心理学-愛情も練習が必要
台湾の女性心理学者-女性心理に精通。女子学生の嫌われ者-知行不合一
死-誰でも必ず死ぬ。わかっていても恐がる。
〇四諦 苦 苦の内容-八苦=生苦・老苦・病苦・死苦・愛別離苦・求不得苦
集 苦の原因 怨憎会苦・五蘊盛苦
滅 苦の消滅
道 苦の防止
〇五蘊 色蘊 肉体的・生理的不満足
受蘊 眼受-視覚=見たものから受けるもの
耳受-聴覚=聞いたものから受けるもの
鼻受-嗅覚=嫌な匂いなど
口受-味覚
身受-触覚
想蘊 いやなイメ-ジなど
行蘊 何かを決めなければならない-結婚など
識蘊 他人を傷つけた思い出など 残留孤児-妹を置き去り
〇集 五蘊以外に三毒
瞋-
三毒 痴-欲しいものが諦め切れなくてだらだら続く
怨-
三学 戒・定・慧
五戒 悪い事をしない
八正道-苦しみの解消
正見・正思・正語・正業・正命・正勤・正念・正定(悟り)
正=一止 適正
例:正語 釈迦-喜ばせる一言も、怒らせる一言も費やす努力は同じ
孫語空の神通力-須菩提から学ぶ=釈迦十大弟子 解空第一
釈迦-バラモン教と論争 我・アートマンはあるない-水掛け論
釈迦の死後「倶舎論」五位七十五法 この世に存在するものは全て含まれる。
ここにないものは存在しない-アートマンはない。
先験知識-他界=神・霊魂 世界中共通 バラモン教 梵我一如
経験知識-錯覚も含む 経験知識が先験知識より優れるとは限らない
仏教-実用化・再現性を重視
西遊記
孫悟空が神通力を身に付け帰ってくると「混世魔王」がサル達をさらう
混世-けじめなくダラダラ過ごすこと
竜樹の「中観論」-物事には自性がなく、何であるかは「空」(関係)である
釈迦-縁起=空 「ア-トマン」と「空」の概念-新興宗教=曖昧
釈迦-「愛」を否定-執着→愛別離苦
佐橋法竜-死は必ず来る-愛の喜びの方が大きい
十二縁起-釈迦、空の概念の雛形を既に作っていた。
無明
→行 過去二因 男女のする馬鹿なこと
識
名色
六入(受) 現在五果
触
受
愛
取 現在三因 又、次の世代に対してする馬鹿な事→無明・行
有
生
老死 未来二果
孫悟空-如意棒・生死簿 仏教に入る動機=如意・長生
輪廻-六道 天 悠々自適
人 普通
阿修羅 得られないものを必死に追いかける-渡辺美智雄
餓鬼 最低の生活以下
畜生 人間のしない事をせざるを得ない
地獄 命の保障がない状態
人が死んで豚に生まれ変わる?
ひいじいさんが、豚に生まれ変わったときに「我」がなかったら
それがひいじいさんかどうか分からない。
時効-人間の細胞は十五年ですべて新しくなる。
アートマン(我)がなかったら同じ人間かどうかもわからない。
「空」論の限界→「識」論へ
<次回へ続く>張明澄 南華密教講座 第2回《中道・倶舎・中観・唯識》講義録
受講をご希望の方はご覧ください。
南華密教講座 第2回
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1995年1月の南華密教講座ー講義要録を掲載します。
DVDでの受講も可能です。張明澄師 南華密教講座 DVD 有空識密 智慧と覚悟
南華密教講座 第3回
この講義はDVDで受講が可能です。
1995年1月の南華密教講座ー講義要録を掲載します。
DVDでの受講も可能です。張明澄師 南華密教講座 DVD 有空識密 智慧と覚悟
張明澄師 平成七年二月五日
南華密教講座 第四回 午後一時~五時
○前回の講義 《「五術」などは、密教に比べたら全然価値がない。》
これに関して電話で質問があった(相手の名前等一切聞かない)
それぞれ目的が違うし、較べることができるものか?
良く言われている誤解-五術は欲望そのものを満たすもの
宗教は欲望をあきらめる。なぐさめ
現在ある宗教は、おおむねそのように見られている。
「新宗教」は、こういう宗教に対する誤解を利用して出てきた。
南華密教は、あらゆる手段を駆使して、手に入れる方法をもっている。
欲望をいつでも達成できるから、欲望がなくなる。
手に入れにくいほど、欲しくなる。
○五術の体系
山-山門
医-養医(予防)・療医(治療)
命-推命(生理と心理)・運命(行運)・造命(避凶趨吉)
卜-筮卜(道具使用)・占卜(時間立卦)・方卜(方位)・局卜(測局)
相-印相・名相(姓名)・人相(面掌)・家相・墓相
○南華密教の体系
五術
経典 根本的な物事の考え方
功法 -------------- 山
実学
天(自然)物理学
化学
地(生命)生理学
医学 ---------- 医
人(人文)心理学
語学 -------- 印・名
群(社会) ---------- 卜
地理学 ------- 宅・風水
史学 -------- 命・人相
秘術
※これらが独立しているのではなく、経典に基づいて成り立っている。
我々はどう考えたらいいのか、世の中の人はどんな考え方をするのか?
それに基づいて修行していく
天(自然科学) 物がわかり、物と物が出会ったときの変化がわかる
地(生命科学) 生命というのは、物に生命がくっついている
物の原理ぬきでは、命のことは言えない
密教はこのように唯物論的な面もあるが、究極的には唯心論
「霊」について、
高野山の密教を除いて、霊を信じる仏教はない。釈迦が否定
仏教では「識」という。死とは肉体と識がはなれること
普通は肉体が滅びると霊(識)も滅びる。体をはなれるとやがて消滅する
何かの偶然か、人為的に保存されることがある。死体の保存に似る
霊は非常な高温の中などでは残ってしまうことがある。
偶然、竈のなかなどに飛び込んで保存されてしまう場合
本来は、肉体=物質によってしか存在できない
「霊」を扱う人は、例外を普遍的と間違えている。
人(人文科学) 生命の原理ぬきでは人間のことは言えない
群(社会科学) 人間の原理ぬきでは社会のことは言えない
秘術 ー 経典・功法・実学に則って行なわれた結果、超能力のように見える
見かけは「超能力」、実際は《常能力》手順を踏めば誰でもできる
五術の山 「気功」-外気功は毛沢東以降-毛気功?
密教の功法にあたる
五術の医 漢方・中医学-中国的な論理にのってきている
根からできた生薬や食べ物=「升」作用 元気がでる
漢方の根は地下茎も含んでいる-植物学的におかしい
医学だけに通用する理論
※南華密教の医学は、自然科学-生理学までに則っている
ダライラマ十四世-英語・科学知識に堪能-世界的
チベット医学で癌の治療法に肺結核にかからせる方法がある
免疫が強くなって癌に対抗できる-西洋医学の原理でも効果的
梅毒にかかるとエイズにかかりにくい-免疫の働きが強くなる
同じ「医」のように見えても、南華密教の医は経典に則っている
母体と子供を同時に救えない場合、中医学では子供を助ける
「大不孝」-中国では跡継ぎのいないことを非常に嫌う=儒教
密教医学や西洋医学では、まず母体を救う
五術の命 推命・運命・造命
南華密教では個人の歴史として「史学」に位置づける
正田美智子さん(皇后陛下)と同じ命式の人-台湾に十三人
日本でも八十人くらいはいるはず 一人しか皇后になれない
五術-同じ命式の人の差異を知る方法論がない
入学試験の占卜-台湾で張先生にかなう人がいない
張先生は高校教師をしていたので入試や学力に関する知識が豊富
五術の判断と専門の知識を組み合わせるから良く当たる
六壬神課の占卜では三組の関係の内、二組が良ければ吉とするが
実力的に当然入れるものなら、一組だけ吉でも入れる
実力的に全然無理だったら、三組とも吉でもは入れない
四柱推命の凶運にあたっても、実力以下の点数しかとれないだけ
合格点さえとれば合格できる
どんな吉運でも実力がなければ無理
◎風水-日本で流行っているが、現在の日本では全然通用しない
運の善し悪しとは、社会生活上の問題
風水は農業社会においての有利不利から組み立てられている
六割くらいは通用しない
静岡と浜松では、静岡のほうが、風水が良い
浜松は大型店をどんどん受け入れたが、静岡は入れない-逆転
狸穴(まみあな)と六本木-狸穴は立派な商店街、六本木は焼跡
狸穴は地下鉄の駅を拒否、六本木は駅ができて発展
風水はどう見ても狸穴の方が良い-風水より住民意志
人相-五術=目の大きい人は派手、小さい人は地味
※密教の考え 目が大きい=動物的 目が小さい=人間的
動物-行動がばれやすい 人間-隠し上手
佐藤栄作=ギョロ目 引退の記者会見-新聞出ていけテレビ来い
坂本九=小さい目 皆様の九ちゃん-裏でマネージャー殴る
目の大きい人は何でもばれる 小さい人は隠す
目と目の感覚が広い-動物的=貸し借りにはルーズ
目と目の感覚が狭い-人間的=きちんと返す、取り立てもきつい
髪を伸ばす=人間的 短く刈る=動物的
動物は画一的、人間は画一的なものを嫌う
丸刈り=坊さん、やくざ、体育会系の学生-画一的な性格を持つ
髪の長い女性-人間的=性交が動物より頻繁
髪の短い女性-動物的=生殖以外の性交はしない
大麻や覚醒剤-酒よりも害がすくないが法律で禁止されている
禁止されているから手を出さない-髪を短くしている
◎西遊記 沙悟浄の登場-四人が揃う (第二十二回~二十三回)
三蔵=経典研究者
行者=功法実践者
八戒=戒律守持者
和尚=寺院経営者
これから出てくる障害に対して乗り切れる人か、そうでないか
四人がある家に泊めてもらう-後家と三人の娘がいる
後家の夫姓は莫(ない)、実家は賈(仮=うそ)
三人の娘は 真真・愛愛・憐憐といい、三人ともたいへんな美人
後家は、四人に対し、婿養子になってくれと頼む
三蔵・悟空・和尚の三人は断るが、八戒だけ承諾する
翌朝目を覚ますと家はなく、八戒は木に縛られて吊るされている
実は三人の娘は観音菩薩、文殊菩薩、普賢菩薩の化身
三蔵一行の心を試しに来た-八戒だけ不合格
菩薩=大乗仏教 自分だけ修行する=小乗仏教
釈迦の死後一時的に仏教が広まったが、寺が仏教を私有化する
門戸が高い=日本の僧籍のように、入るのが非常に困難
在家居士たちが仏教を広める-大乗仏教
経典研究者-本を出す
功法研究者-行を教える 仏教を広めやすい
寺院経営者-寺に人を集める }
戒律守持者-自分が戒律を守るだけで精一杯、
他人に守らせるのはほとんど不可能
経典・功法・寺院によって仏教をひろめるのは手易いが
戒律によって仏教を広めるのは無理-自分だけでやるのが良い
○南華密教が求める「八大楽」 テキスト二三五頁以降参照
・清浄-無心・純粋・優しさ・まごごろ・ひたむき
・無為-しなくてもいいことをしない、するべきことをする
・神通-人に不孝を願われない、人に幸せを願われることにより
他人の「神」が自分の「神」になる-清浄・無為=魅力を増大
やりたい放題、言いたい放題-長渕剛=密告される?
ビートたけし-作為的・計算づくで純粋さ無心さがない
渡辺美智雄-人に嫌がられる発言-総理になったら大変だ
他人に不幸を願われたら本当に不幸になってしまう
・中諦-真諦と仮諦のうち、自分にも他人にも良いほうを選ぶ
諦=真理 真諦(空諦) 真理だけでは厳しすぎる
仮諦(俗諦)
美空ひばりの歌=好きなら心に響く=中諦
美空ひばりは国語力がない=真諦
知らない幸せ-真実ばかりが良いとは限らない
中国の天台宗が強調した考え方-仏教徒以外の中国人には受けない
価値観の基準 米国=中国語で美国
欧米-善 本人同士の恋愛で結婚。東洋-親が決めた相手と結婚
インド-夫が死ぬと妻も生火葬する地方がある-認めない
李鵬-中国は人権なしで四千年やってきた=バカ
東洋人は「善」に関して西洋人に全く及ばない
中国-真 真諦が好き
日本-美 強い北の湖より、弱い貴ノ花が好き
叩き上げの無能田中角栄が好き、有能な福田は評価しない
・洞察-何故こうなったか、これからどうなるのかをしっかり見極める
・照見-自分だけでなく、他人にもわかるようにさせる(般若心経より)
・誠意-自分に正直であり自分を欺かない。その瞬間やる事を一生懸命やる
・随心-自分のやりたいようにやりたい放題やっても法律・倫理・道徳を犯さない。
随心所欲不逾矩(心の欲する所に随いて矩をこえず-論語)
手の届かないものを欲しがらない
地球上の人間は生まれつき神様が存在すると信じている=先験的知識
神様がないと考えるのは、会ったことがないとか科学教育を受けてそう思う
右図で、尊仙の側は人間が頭で考え出したもの、神は原始信仰によるもの
イスラム教やキリスト教では、神様は絶対的なもの、人間の及ばないもの
仏教では神様(天)は人間の上、仏の下
人間が修行して仏になったら、神様などは使い走りにできる
神-廟
仙-観
仏-寺
漢字は一字が単語にあたるがホテル・旅館にあたる漢字がない
二字の組み合わせで「飯店」「旅館」「客桟」などがある
最初のホテルは「寺」と書いたが、最初に仏像を持ってきた旅館「白馬寺」
から「寺」が現在の寺の意味に転じてしまった
背中を意味した「八」が数字の八にとられ、かわりの「北」も方角の北にとら れ、「背」という字ができた
○西遊記 二十四回~二十六回
「五荘観に行者人参果をぬすむ」 観は道教の寺
五荘観 鎮元子=天仙 三蔵一行を歓迎 元始天尊の招きで留守にする
日本で元始天尊を玉皇大帝を同じと誤解する人が多い
元始天尊 宇宙の誕生と共にでてきた=尊
玉皇大帝 原始信仰からでたもの-道教の最高神=神
太上老君 老子=人仙
張天師 実在した歴史上の人物=人仙
中国では宗教の対立が少なく、お互いに尊重し会ってきた
鎮元子は留守の間、弟子(仙童)に三蔵一行を歓待するように命じる
五荘観の庭には人参果という実のなる木があり、
この果実を食べると、四万七千年も長生きできる
孫悟空・八戒・沙悟浄の三人は、人参果を盗んで食べる
盗んだのがばれると、孫悟空は木を切り倒し、四人で五荘観を逃げ出す
鎮元子が帰ってきてこの有り様を知り、三蔵一行を追跡する
孫悟空らは、これに反撃するが、馬ごと袖の中に絡めとられてしまう
人参果の木を元に戻したら、許してくれることになり
観音菩薩の甘露水の力を借り、木を生き返らせ、ようやく解放される
右の挿話は、仏教を布教するにあたって、他の宗教を怒らせるな、
からかったりして、無闇に事を構えるなと言っている
鎮元子は、別名を与世同君という
道教の目的の一つ、元神を鎮める 識・神・気・精・力のうち神を鎮める
感情や情動を落ち着け、淡々と静かな心を保つ=道教の精神面 静淡
もう一つの目的は、肉体面で長寿を保つ事
心-静淡 体-長寿
大乗仏教では布教して人々を救わなければならないから、
静淡=隠遁を好む道教を、利己主義として嗤う
人参果の木を倒すということは、道教の「長生不老」を否定し軽蔑すること
短い期間でも精一杯生きるのが大切であり、
隠遁してなにもしないで長生きしてもしかたがない-仏教の考え
「守屍鬼」-禅坊主が仙人を嘲笑する言葉。心ができていないで体ばかり
丈夫なのは、生きた屍を守っている鬼(耽溺者)という意味
「間違いだらけの漢文」より
仏教が、道教の隠遁思想や長生不老をあざ笑い軽蔑する
道教側が政治権力を動かして、仏教を弾圧させる
道家四子 老子 楊子 列子 荘子
道教の経典も素晴らしい内容を持っている
三蔵=経典研究者は道家の経典を読んで、素晴らしい面を知っているから
無闇に道教を軽蔑しない↓一緒に人参果を倒したりしない
仏教の功法は道教よりはるかにレベルが高いから、馬鹿にしやすい
つまり功法実践者=孫悟空は、そういう欠点をもちやすい
戒律守持者は、道教の無軌道さを軽蔑する
寺院経営者は、道観と寺院を較べて馬鹿にする
中国で仏教を広めるのに、土着の道教を馬鹿にして事を構えれば反撃される
物理的(政治的)な力を較べたら、仏教は道教に全然適わない
三武一宗の禍-歴史的に四回の大きな弾圧事件があった
寺を焼かれ僧が殺された-道教との喧嘩の結果
陶宏景 南北朝時代の梁の人、山中に隠遁していた=仙人=道教徒
山中宰相 梁の武帝は国家の大事があるたびに訪問して意見を聞いた
中国では、仏教が政治や国を動かしたのは、元代=蒙古族のときだけ
道教は政府に食い込んで、国を動かした
鎮元子の神通力-袖のなかに4人を馬ごととりこむ-全然適わない
山本五十六-野球場が屋内にあるような(キングドーム?)国と戦って 勝てるわけがない-日米開戦に反対
石原慎太郎-NOといえる日本-身の程知らず
中国では儒教、道教と争うな、欧米ではキリスト教と争うな
※「観音菩薩」の助けを求める-甘露水で人参果の木を生き返らせる
他の宗教から攻撃されても「自在心」で相手を尊重しなさい ※観自在菩薩
仏教はレベルが高いから、外道のなかには、あまりにも俗っぽい
どうしようもない教義もあって、仏教徒にとって尊重できないものも多い
いくら挑発するなとか、ばかにしてはいけないと言っても、
心の中ではどうしてもばかにしてしまう - こんなときは経典に帰る
『阿含経』-ハイレベルのものは、俗っぽいものに支えられている
日本の禅などは俗っぽいものに支えられていない
どんなハイレベルのものも、日常的なもの
生活思想に支えられていないものはダメ
『阿含経』『法句経』など俗っぽい、ごく当たり前のことを説く経典
空・識・禅・密教など人類最高の叡智もこういうものに支えられている
「非世俗」ではなく、「超世俗」が求められる
鈴木大拙 禅は《非理性》 理性ではわりきれないもの
胡適が批判 《超理性》 理性を持った上で、合理主義を超える
僧 南泉 弟子たちが猫について仏教を論じている
間違った事を言ったら猫を殺す→本当に殺してしまう
一番弟子の趙州にこの話をすると、わらじを脱いで頭にのせた
ものの使い方が違う=猫は禅の教材でない=猫を殺したのは間違い
米の動物愛護協会が批判-仏教の「殺生」にあたる
鈴木大拙-南泉が正しい-猫を殺して弟子が悟れればいい=非理性
胡適の批判-禅は非理性ではなく超理性が求められる
悟りのためなら猫を殺してもいいとは言えない
どうして南泉はそんなことをしたか?
張先生の説=アルツハイマーだった=案外「真諦」かも
「雑阿含経」第二巻より
如世人之所知 世の人の知る所の如く
我亦如是説 我も亦この如く説く
所以者何 ゆえんの者は何
莫会我異於世人 われを世の人に於て異ならしめる莫かれ
世の中の人が知っているとおり、わたしもそのように説きます
私を世の中の人と違っていると見なしてはいけません
世の中の人が気づかないことは言うが、特に異なることは言わない
註 漢訳「阿含経」には『長阿含経』『中阿含経』『雑阿含経』『増壹阿含経』 の四部があります。
親孝行=俗っぽい道徳-暴走族でも知っているが、お釈迦様も勧めている
如汝於父母 もし汝が父母に於て
恭敬修供養 恭敬して供養を納めれば
現世名称流 現世に名称が流れ
命終生天上 命終われば天上に生まれる
仏教の第一歩は世俗を離れてはいけない、ごく普通の人であるべき
密教の功法 持戒=ひとつの事をまもる
不暴 暴力は目的達成が不確実で効率が悪い方法-相手も暴力を使う
不騙 嘘を一回つくと次々に嘘で補う事になる↓嘘でないもので騙す
不盗 物だけでなく、権利、権益、チャンスなども含む
不乱 秩序を乱さない-法律・規則や道徳を守る
不貪 手に入り難いものを欲しがらない-手に入るもので我慢する
暴力を使わない方法-相手に物を投げるより障害物にして逃げる
嘘をつかないで騙す-美人=沢口靖子よりはおちる、
競技=カールルイスにはかなわない など嘘ではない
秩序-ある抵抗できない権力がそう決めたら、守るしかない
大麻・覚醒剤よりも、酒=アルコールのほうがはるかに有害なもの
酒は合法なのでなるべく無害なものがつくられている
麻薬は非合法なので中毒になりやすくつくる-合法なら無害につくる
これらは不合理ではあるが法律がそうなっているから守る
高校生にTVゲームを禁止する-不合理でも破ると損をするから守る
この講義はDVDで受講が可能です。
南華密教講座 第五回 張 明澄 先生
平成七年三月五日 午後一時~五時 於:豊洲区民館
今回から実学の話がはいります。
南華密教の実学は、
天=自然科学 中国とチベットの知恵を結集
地=生命科学 生命はどうして損なわれるのか、どうして救えばいいのか?
医学の理解
人=人文科学 心理学と語学(=記号論、人が表現したいものが何か、表現し たくないものはどう現れているか、他人からどう見えるか?)
名前-印鑑の図案=曼陀羅の矮小化-形の心理学(色彩なし)
※前回は、仏経の布教にあたり、道教など土着の宗教にちょっかいをだしてはいけない。
チベット密教でも、ダライラマなど欧米社会でキリスト教と対立しないように 気を配っている。
◎西遊記 二十七回 「屍魔 三たび唐三蔵に戯れ 聖僧恨んで美猴王を追う」
五荘観を離れた三蔵一行に、妖怪が目を着け、三蔵を食おうとする。
妖怪は、美人や老婆・老人に化け、食べ物を持って三蔵を誘う。
三蔵・八戒・和尚は見抜けないが、孫悟空はこれを見破り打ち殺すと、食べ物 は蛆虫に変わり、死体は白骨になってしまう。
背骨に「白骨夫人」と書いてあり、これは行き倒れになった女性が白骨になり 妖怪にかわったもの。
孫悟空が説明するが、八戒が三蔵に讒言したため、三蔵は殺生をしたとして、悟空を破門してしまう。
西遊記に登場してくる妖怪は、すべて仏教修行上の障害になるものの比喩
この「白骨夫人」は、修行者にとっての「死」を意味する。
ただしここで言う死は一般的な死ではなく、避けられる死=殉教死のこと。
殉教死とは、女のヒステリーのようなもの(白骨夫人)
仏教は理性的で、霊魂も否定するから、死後のための殉教もありえない
中国では仏教が弾圧されたが、逃げられる人は逃げて殉教死を免れ、法灯を 守ったたため、現在にまで仏教が伝えられている。
信者を幸福にするのが宗教の役割であり、信者を死なせる宗教は間違い。
中国では、殉教死はほとんど起こっていないが、日本では殉教死を美化する傾向があり、一向宗、キリシタンなどは多数の殉教死を出した。
キリスト教では、偶像崇拝を禁じているのに、踏絵を踏めないために、大勢が殺されてしまった。ただの絵や板を踏む踏まないはたいした問題ではない。
現代では宗教弾圧もなく、殉教ということは普通ありえないが、宗教のために自分や家族を生命の危険にさらしたり、社会的生命を絶たれる例は絶えない。
輸血を拒否して我が子を死なせたり、信者の女優を街頭で絶叫させたり、霊感商法をさせたり、父親を誘拐させたりする宗教は良くない。
桜田淳子のように、努力の末にやっと掴んだ女優生命を絶たせてしまう例。
沢口靖子や斉藤由貴などは、特に芸能活動に支障がでていない
タレントを生かすか殺すかを見ても、良い宗教か悪い宗教かの目安にはなる。
西遊記によれば、三蔵も八戒も和尚も妖怪の正体を見破れず、孫悟空だけが 見破る。
経典研究者、戒律守持者、寺院経営者は、殉教の誘惑に陥りやすい。
中国南北朝時代の僧-国王が美女をいっしょに押し込んで、一夜をともにしなければ殺す-命令に従って生き長らえ、多くの経典を翻訳する。
この程度の破戒よりは、仏教を後に伝えた功績のほうがはるかに大きい。
戒律を守る人は、女性を抱く(破戒)より死を選びやすい。
経典研究者は、美しい世界を守る-理想に燃えて殉教しやすい。
寺院経営者は、寺と生命を共にしやすい。寺と一緒に焼かれる
孫悟空に代表される功法修行者は、経典から美しい世界を与えられたのでも無いし、戒律を修行の道標にしている訳でもない。
得られた成果は自分の努力で手に入れたものだから、宗教のために命を投げ出さない。できるだけ生き延びて貢献しようとする。
殉教死は、宗教にとってなんのメリットもない。ただ一部の上層部にとっては都合の良い面もある。
オウム真理教の信者-父親を拉致監禁-教団にとってマイナス。あくまでも宗教は人間のためにあるので、宗教のために人間があるのではない
西遊記のなかには、独特の発明はない。それぞれにルーツがある。
『法句経』
如蜂集華 蜂の花に集まるが如きは
不嬈色香 色と香りとを乱さず
但取味去 ただ味を取りゆき
仁入聚然 いつくしみの村に入るも然り
花に集まる蜂が、花の色と香りを損なわずに蜜の味をとるように、人々に入り込む宗教も、そうでないといけません。従って、宗教のために人を死なせるなど、とんでもない。
註 「法句経」は原始仏典のなかのひとつで、「阿含経」と同じく三蔵のなかの「経蔵」に含まれ、釈迦や直弟子の教えを記したもの。
◎前回、功法の第一段階として「持戒」-やるべきでない事をやらない
第二段階「持行」-やるべき事をやる
清浄 美しく清らかな心を持つ事、やさしさやまごごろを持つ。
知足 満足を知る。置かれた条件のなかで最善策を考える。
力行 精一杯努力すること。混世魔王にならないようにする。
念誦 経文などの大切な部分を暗記していつでも役立てるようにする。
祷告 仏に祈る。
以前に張先生が出前のバイクにぶつけられ、左手が腫れて何もできなかったが 困ったと言っても何にもならないので、平気な顔をしていた。
悪い事ばかりでなく、ホテルなどでウエイトレスがコーヒーに砂糖を入れてくれるなど、良い事もあった。
どうしようもなくて死ぬ場合でも、どうやって死んだらいいか、考えなければならない。 仏教は非常に理性的な宗教だから、祈る場合でも、「あなた(仏・釈迦)の間違いがあったら直させていただきます」という祈りも成り立つ。
註「混成魔王」については第一回・二回ノート参照
◎西遊記 第二十八回~三十一回 「黒松林に三蔵魔に逢う」
孫悟空を破門して三人になった一行が、黒松林と言うところにさしかかった。
八戒と和尚が食べ物を捜している間に、三蔵が道に迷い、妖怪に捕われる。
二人が三蔵を探すと「碗子山・波月洞」という館があり、三蔵を捕えたのは、 「黄袍怪」という妖怪とわかる。 八戒と和尚は黄袍怪と戦うが、勝負がつかない。 この妖怪は十三年前に「宝象国」という国の「百花羞」という姫をさらってきて妻にしていた。 この姫が三蔵に身の上話をし、父への手紙を託して、妖怪に三蔵を助けるように頼むと、妖怪は姫の言うことは何でも聞くので、三蔵を放してくれる。
三蔵一行は宝象国へ到着し、国王に姫の手紙を見せると、何とか姫を助けられ ないかと三蔵に頼む。お調子者の八戒は、国王の頼みを引き受けて、和尚とともに波月洞に取って返すが、二人掛かりでも敵わず、和尚が妖怪に捕えられてしまう。怒った妖怪は、宝象国の王宮に出向き、三蔵を虎に変えてしまい、さらに大暴れする。 八戒は花果山の孫悟空に助けを求め、孫悟空は波月洞に駆けつける。和尚を助けだし、妖怪が宝象国から帰るところを打ち負かすと、妖怪は姿を消してしまう。
悟空は天上界に登り、玉皇大帝に頼んで天上界から姿を消したものを調べてもらうと、二十八宿の「奎木狼」(奎星)がいなくなっているのがわかった。玉皇大帝の命令で、星官らが川に潜んでいた奎木狼を見つけだし捕まえる。孫悟空は姫を宝象国に連れ戻し、虎に変えられた三蔵を元の姿に戻す。
奎木狼=紫微斗数の貪狼星のモデル 欲望や野心という修行上の障害を表わす
宝象国=宝石でできた象だから、役にたたない飾り物の意味 欲望や野心に燃えていると、自分の勉強した仏法が飾り物になって 役に立たなくなってしまう
碗子山=お碗をひっくり返した山-食いぶちまで失ってしまう
波月洞-『指月録』=悟り 波が立っているから月がきれいに映らない 。悟りが得られない 黄袍郎=黄色い衣装を着る男-明代には皇帝以外は許されない服。思い上がった男の意味
百花羞=恥ずかしい思いをする
修行しているうちに、その成果が世の中に認められるのにつれて心の中に大きな欲望と野心とが生じ、結局仏教が役に立たない飾り物になる。食いぶちを失い、悟りから遠ざかり、思い上がりから破滅し、恥ずかしい思いをする、などのひどい挫折をする。この障害を乗り越えられるのは、功法修行者だけで、経典研究者、戒律遵守者寺院経営者などは、すべて失敗する。
この誘惑に一番弱いのは三蔵で、虎(=権勢欲)にされてしまう。
功法をしっかりやれば、欲望や野心を押さえることができる。
「悟空」がこの欲望に勝てる=空を悟れば良い
空を悟るには-「般若経」を読む↓「般若心経」を読めば良い
〇般若心経の読み方 日本の解説書は役に立たない-特に「空」が解釈できない
むしろ西洋のほうが、的を射たものがある。日本や中国のほうがダメ
「悟り」-ユングの解釈=意識・無意識-フロイド心理学
表層意識と深層意識の一致
仏教は、東洋的というよりむしろ西洋的 日本で謂う悟り=憑依現象(秋山サトコ)
スートラ=ヨコ糸 インドの正式な経典=「スートラ」横書き
タントラ=タテ糸 「密」=広くつなげたもの
経=タテ糸 中国の正式な経典=「経」縦書き
緯=ヨコ糸 「緯書」=横に広くつなげた学問
インド・チベットでは、横書きが正式。中国は縦書きが正式。
〇般若心経のうち、最も欲望を抑える目的に有効の部分
色不異空 色は空と異ならず
空不異色 空は色と異ならず
色即是空 色は即ちこれ空
空即是色 空は即ちこれ色
受想行色 じゅ・そう・こう・しき
亦復如是 またこれの如し
これらの文句が非常に大切な部分だが、あまり日本では適切に訳されていない
「空」=縁起-現代の言葉では「関係」という
関係 同時的相互関係・前後的因果関係
※空間性と時間性という分け方に近いが、例えば「親子」という関係を考えた場合に、一緒に暮らしている親子という関係なら、同時的相互関係と言えますし、同居という空間的な関係とも言い換えることができますが、同居だけでは親子・夫婦などの区別がありませんから、空間性という言い方だけでは不十分となります。 また、かつて父親が母親を妊娠させた結果生じた親子という関係なら、前後的因果関係といえますし、時間的な関係と言い換えられないこともありません。
〇色不異空 空不異色 色即是空 空即是色
物質的現象(形のあるものや感じ取れるもの)は、同時的相互関係や前後的因果関係である。
同時的相互関係や前後的因果関係は、物質的現象と同じである。
要するに 空=色 ということ
〇受・想・行・識
受=感受-「陽神」(丙)=中医学の用語 外から中へ情報を入れること。知覚による情報
想=表象-「陰神」(丁)入れた情報によってイメージが形成される
行=形成-「陽識」(甲)情報によってイメージが作られたあとどうしよう かという意志決定
識=意識-「陰識」(乙)思考・発言・行為の記録
「受」が同じであっても「識」によってイメージが違う。同じ芸術作品を見ても、見る人の素養によって印象が 全然違ったものになる。 同じイメージでも、その人が持っている記録によって意志決定が違う。
受—┐
├ 想 ┐
識—┘—―—┴— 行
※般若心経を読むにはあまり言葉を穿鑿しないで、すんなり読む
色は空と同じで、空は色と同じです。色は空であり、空は色です。
このことは受・想・行・色についても言えます
すべて感覚で捉えられる存在や現象は、みな同時的相互関係、前後的因果関係によるものであり、実体のあるものではありません。
そしてこれらの関係は感覚で捉えられる存在や現象を作り出します。
だから、存在や現象は関係、関係とは存在や現象であるともいえます。
従って、外からの情報の受け入れ、イメージの形成、意志決定、思考と行為の記録についても同じと言えます。
あるものが何であるかは、絶対的なものではない。 同時にある周囲のものとの関係で決まるか、時間の前後で決まる。
蒋介石の銅像-かつて台湾では、前を通るとき敬礼して通った 現在では撤去するようになった-前後的(時間的)因果関係
●糸川英夫の「空」論 『物質(色)と反物質を足し合わせると「空」になる』 物質と反物質を足し合わせた結果は必ず0になるから「空」=0という事に なる。 般若心経は『色=空』といっているから、この論では『物質=空=0』となってしまい、数学的に合わない。また仏教でいう「空」と老子の「無」が同じということになってしまう。 さらに『正即是負 負即是正』とも言っているが、さらに数学的に合わない。
○ボームという物理学者 同時的相互関係と前後的因果関係を「空」と呼ぶ
◎有→空→識 (認識論)
有-これが何であるかを認識する場合に、その存在位置によって分類する どういう条件で分類したときに、どの類にはいるのかという認識方法 中国思想は最後までここにとどまっている-漢方医学など
空-それはどういう関係でできあがったものであるか
識-物事が何であるかというのは、誰がどういう立場や考え方で見るかで 決まる ニュートンまでの物理学は「空」の段階 今の西洋科学の考え方=還元主義 西洋のほうが「空」の理解が早い。ホーキングなど西洋科学が「識」に伸びてきた
それぞれの元素の持つイメージは
水素なら、軽い=風船に使う、爆発
酸素なら、呼吸
窒素なら、肥料
塩素なら、毒ガス
というように、全くイメージが異なるが、全く同じ電子と陽子の、組み合わせが違うだけで、このように全然違った元素ができてしまう
さらに水素と酸素の組み合わせで、
H2O = 水 H2O2 = 過酸化水素
のように全く違った性質の物質ができる。
このように現代科学のなかには「空」の考え方が、「還元主義」という形で すでに浸透している。
そこで仏教の「空」の理解も、西洋のほうがよく理解している。
○般若心経の謂うところは、
世の中のすべてのものは、実体のないものだから、
たとえ手にいれても、持つ人によって関係が違ってしまう。
他人にとって有用なものでも、自分にとっても有用とは限らない
隣の奥さん-おしとやかに見える-今の夫と一緒にいるからかもしれない
総理大臣-派閥・党派など、条件が悪ければやめたくなるだけ
物事には実体がなく、世の中の感じ取れるものは、すべて関係によって決まる
欲望や野心などは、手に入ったところで素晴らしいものとは限らない
※ただし「唯識」の段階になると、関係がどうなっているかも、見る側の認識によって決まるという事になるから、世の中がどうなっているかを知るというのもなかなかに難しい。
張明澄師 南華密教講座 DVD 有空識密 智慧と覚悟
南華密教 第六回講座 張明澄 先生
平成七年四月二日 午後一時~五時 於:豊洲区民館
張先生が、当会場までタクシーに乗ろうとしたところ、タクシーがなかなか来ない。
こんなことも、社会の仕組みに影響されている。
日本の社会は、特に大企業の営業を優先させた仕組みになっており、消費を中心に考えられていない。
大企業の利用が減ると、タクシーがあまり走らなくなる。
ファクシミリが壊れると、修理代が高くて、人を呼ぶより新しく買ったほうが安上がりになってしまう。台湾だったら、まだ修理したほうが得。修理する人も儲かる。
日本では、空缶をあつめても、子供の小遣いにもならない。
自転車の放置問題でも、いけないと決めておきながら、取り締まらない。
NHKの受信料を払わなくても、罰則はない。
最近の大ショック
「オウム真理教」や「円高」の問題も、偶然起きた訳ではない。
サリン・警察トップの狙撃事件-日本の治安は世界一=幻想にすぎない
○密教というものは、正しいことを知るという事が目的。
社会に起きた現象を解釈するのに、前にあった事と次に起きる事を繋げて考えなければならない-学習=教え
●「オウム真理教現象」というのは、どこにあるのか?
天台の『三諦』理論の、漏れ欠けた部分から出てきている。
・真諦(=空諦) そうであること 本当の真実 諦=真実・情報
・仮諦(=俗諦) 表向きそう見えるもの うその真実
それまでの仏教には真諦と仮諦だけ-真諦のほうが良い
一般と同じ見方
・中諦-天台智 (ちぎ)=中国の天台宗開祖
そう見なしたほうが、自分や世の中のためになる
場合によって、真諦にも仮諦にもなる
※第4回講義-テキスト二四四頁参照
妻-いやいや結婚させられ夫を愛していない-愛していないが夫を大切にする 夫-本当は愛されていなくても、愛されていると思い込んでいる
この場合は、仮諦であるが中諦-そのほうが幸せである
もし妻が保険金殺人を計画していたら、真実を知ったほうが良い
この場合は、真諦が中諦-真実を知らないと命が危険
正しい・正しくないというのは絶対的なものではない
真諦=より正しい・仮諦=より正しくない というだけ
より正しいとは、その考えが、より広い範囲に当てはまる
より正しくないといっても、当てはまる範囲が狭くなるだけ
情報産業-情報そのものに価値がある
情報抜きでは、発展に限界がでてくる
中国の人口は十二億人あり、購買力が非常に大きい
どんな安いものでも、十二億人分の市場は巨大であり、
貿易相手国は、あらゆる要求を聞かざるをえなくなる
二十一世紀には中国が世界を支配するという予測
国家が資金を持ち、技術が追いついてくれば、世界を制することができるか? ソ連においては、世界最大の資本と世界一の技術(宇宙・核・基礎医学など)を持ちながら、十八年間も停滞の時代が続いた。
ある社会では、資本と技術が成熟した後、情報が加わらないと発展しない
ゴルバチョフが、情報を公開-民主化-ソ連邦の崩壊
中国が今後、資本・技術が成熟したあと、情報を公開しなければ、
日米や台湾などが恐れるような段階にはならない-かつてのソ連と同じ
もし情報が自由化した場合には、日本などは簡単に追い越し、米を脅かす
しかし、現在の中国を維持する事は不可能になる-ソ連のように分解
民主化した中国ができた場合には、力があっても恐くはない
日本人は、今でも韓国人からひどく嫌われている
戦前よりも、むしろ戦後に韓国に対し悪いことをした
朴正熙の独裁政権-極端な独裁体制-北朝鮮よりひどい
情報がないために、産業が発展しない-政府を維持する資金がない
これに対し、佐藤・田中・三木政権などが財政援助した
金大中が、独裁政権に対する援助をしないように説いて回った
朴・田中・米CIAが結託して、金大中を拉致監禁する-金大中事件
情報産業-本来は真諦を伝える-真諦産業
ところが情報のなかには、「作諦」「誘諦」とよぶべきものがある
作諦-作られた真実・まきちらした情報 「米軍がサリンをまいた」など
誘諦-ある心地よい情報
渡辺昇一-南京大虐殺はなかった。日本は世界一住みやすい
西尾幹二-ドイツは残忍だったが日本はそうではなかった
韓国や台湾は日本のおかげで発展した
日本人に心地よい、気分の良い情報で成功する-誘諦
オウム真理教-作諦と誘諦を組み合わせて人を集める-成功の原因
実力で天下を取ろうとした-失敗の原因
宗教はすべて権力志向を持つ
キリスト教・イスラム教などは実際に天下をとった
チベットにおける仏教、ロシアなどにおけるマルクス主義(擬似宗教)
日本では創価学会が勢力を拡大している
キリスト教などは、『ネコ型』の政権奪取-チャンスを待つ
イスラム教などは、『イヌ型』の政権奪取-自分からチャンスを作る
創価学会などはネコ型-竹下派の分裂を利用して新進党の実権を握る
オウム真理教はイヌ型の志向で失敗の原因となる
日本では特にイヌ型の天下取りは難しい-アフリカなどでは効果的
警察幹部を狙撃しても、日本では全然効果がない方法
外国では、日本が邪宗教の弾圧取締に出たと見ている
サリン事件はこれに対する宗教側の先制的反撃?
次には、統一協会がターゲットになるという見方
日本の根本の問題は「教育」にある
世界の一流の国どころか、地球上で最低の教育をしている
いじめで自殺に追い込むような例は他にない
『真諦』を伝える教育が必要
○「円高」-日本を崩壊させる原因になりうる
ある国の貨幣価値が高いことは、その国の利益になる
日本では、円高が利益にならない仕組みができてしまっている
台湾では、台湾円が上がると、すぐに物価が下がる。日本では、円高になってもほとんど物価に反映しないから、際限無く円高が続くことになる。
◎時間に甲・乙・丙・丁のような記号をつけて、データを取っているのはどんな発想を持っているのか?
西洋においては、時間は矢のように直線的に進ものと考えられていたが、中国では、コイルスプリングのように、循環しながら進んで行くと考えられていた。 つまり六〇年ごとに同じ年干支、六〇日ごとに同じ日干支が回ってくる。
干支が同じということは、時間のコイルスプリングにおいて同位相といことであり、その時間にはなんらかの共通点があると考えられる。
例えば五千前に生まれた人と、現代に生まれた人を較べた場合でも、コイルスプリング上の同位相の時に生まれた場合、つまり同じ干や支の年月日時などに生まれた場合には、運命的に共通性があると考えた。
このような考え方から四柱推命などが成り立っている。
◎声-現代物理学的な常識で、空気などに乗って伝わる。速度が早いほど高くなり、速度が低いほど低くなる。(ドップラー効果。近づいて来る救急車のサイレンは高くなり、遠ざかって行く救急車のサイレンは低くなる)
声の頻率-人間の耳で捉えられる声には、ある一定の高さの頻率-範囲があり高すぎても、低すぎても聞こえない。
ネズミの歌は、高すぎて聞こえない。
人が心に思っていることは、脳を通じて発声器官に伝わる。これが無意識に発声され、非常に頻率の低い声になる。普通の人には聞こえないが、ある種の精神異常の人には、聞こえてくる場合がある。
現代物理学では否定されているが、南華密教の声学ではそういうことになっている。(思い込み?)
ある会社員。会社でみんなが自分の悪口を言っている。自分だけに聞こえてみんなには聞こえない。録音してみても、再現できない-自分はおかしいと思う。これを、頻率が低い声なので、みんなに聞こえない。当然録音しても再生できない、と説明したら、納得して自信を持ち、だんだん良くなっていった。
現代物理学に反しているようだが、これも「中諦」
火葬場の職員(市役所の公務員)火葬中に死体が叫び声をだすので、恐くて仕事に行けない。
死体を焼くと、体内に残った空気が膨張して喉を通り、声帯を振動させるために、声を出すのであって、死体が嫌がって声を出している訳ではない。
◎熱
世の中には、すべての物質を構成する基本的なものがある
最も基本的なものは、現在の素粒子学で、ひも・クオークなどと呼ばれている さらに、これらがその構成のしかたによって、陽子・電子・中性子の3種類の 粒子になる-これらがさらに組み合わされて、原子がいろいろな原子になる
(前回ノート『現代科学における「空」』参照)
さらに原子が一種類または二種類以上組み合わされて、分子となる
分子は、あらゆる物質の基本となっている
熱というのは、分子の動いている速度による。
氷は水の分子がゆっくり運動している。お湯は早く動いている。
電子レンジ-高周波の電磁波を当てて分子を運動させ、加熱する。
◎力
力に関する考え方=西洋の学問に対する基本的な考え方
自然科学-物理学・化学
生命科学 いずれも、自然科学の方法で考えられている
人文科学 さらに自然科学はすべて物理学の論理でまとめられる
社会科学} 物理学は、すべて力学で考えられているから
結局、現代科学はすべてが力学中心に考えられている
生命科学や人文科学などの独自の論理を持たないために、
いろいろな歪みや問題がでてくる。
〇ニュートン力学の三原則
1、慣性
2、加速度
3、反作用
慣性=外からの力を加えられない限り、運動しているものは運動を続け、静止しているものは、静止し続ける
慣性は、力学以外の世界でも、作用すると考えられがちになっている。
裁判所の判例主義、日常生活や歴史・文学のなかにもこびりついている。
男女の仲などもいつまでも続くと思い込みやすいが、全然通用しない。
加速度=運動を始めると反速度が生じ、すぐには最終速度にはならない
電車など発車してから最高速度に達するまで、また逆に停止するまでに時間がかかる。
これも本当は、力だけの問題なのに、日常生活のなかでも、なんとなく信じられている。
反作用=あるところにひとつの力が加わると、力を受けた方は同じ力で同じ方向に力をかけ返そうとする
静止している壁に人がぶつかると、反作用を受けて怪我をする。
AがBに嫌われているときに、それはBがAを嫌っているための反作用というふうに考えやすいが、必ずしもそうとは限らない。
いじめがあったときに、いじめられる側にも問題があるなどと言う。
慣性・加速度・反作用は、あくまでも力学上の問題であって、すべての事柄に応用できるわけではないのに、潜在意識に植えつけられて、他の学問や日常生活においても無意識に当てはめて考えている。
〇熱力学の二大法則
1、能量不変 (エネルギー保存の法則)
2、エントロピー
能量不変=この世の中の物質とエネルギーの量は減りもしないし増えもしない 例えば机を燃やした時に、机という形はなくなるが、発生した気体や残った灰の総量は、机の質量と等しい。
子供を産むと生殖細胞を出す。親の命をすり減らすが子供の命が育つ。もし子供が死んでも、必ずなんらかのエネルギーになっている。
気功師が気を放って病気を直す、なおかつ気功師が何も損ねないということはありえない。エネルギーが増えたことになってしまう。
エントロピー=ある秩序は秩序を保つように手を加えないかぎり崩れていく 気=アンチエンロピー 秩序を保つようにする
整列させた幼児を放っておけば、すぐばらばらになってしまう。
〇力学には、次の三つの力がある
1、重力 陰子と陰子が反発しあう力 陰×陰
2、引力 原子のなかの陽子と陰子が引きつけあう力 陽 陰
3、核力 原子核のなかの陽子と陽子が引きつけあう力 陽 陽
これらは、中国哲学における陰陽の考え方と一致する。
陰と陰は反発しあう-警察の陰の部分とオウムの陰の部分が対立する
女性と女性の関係
陽と陰は引きつけあう-男と女の関係、政治家の建て前と民衆の本音など
陽と陽はもっと結びつきが強い-男同士の連帯感、ホモなど
男女の仲よりも結びつきが強い
◎磁
ものには磁力があって、陽極と陰極が引きつけあう
技術方面以外はあまり応用性がない
◎精
精=エネルギー 力学の能量不変-増えも減りもしない
◎光
物理学で言う光は、世の中の何よりも速い アインシュタインの
光の速度は足せない-光速度不変の法則 } 特殊相対性理論
◎気
秩序を保つ機能-中国では天地の間にもあると考える
西洋では、生命体のみ
陽-正は習慣的に省略されやすい 気=正気( 邪気)
文献のある時代(周)には、すでに八卦が構成されていた。
気については、生命科学のところで詳しく
時は、現代科学が全然タッチしていない分野
中国の思想・科学では非常に重要なもの
◎干支
殷民族が陝西省あたりから河南へ移ってくる以前から多数の甲骨文字を持ち このなかに干支も含まれていた。干支は時間を記録するために使われていた
○最初十干は日を表わし、十二支は時間を表わしていた
甲-木 亀の甲羅の意味、木の皮が割れた時に亀甲と良く似ていたため
乙-風 小さい水の流れ、~-風を連想-草花が風になびく
丙-日 帷(とばり)の入り口をあけると陽が差し込む カーテンの形
丁-火 丁は木釘、抜いたあとの木釘をもやしていた
戊-石 石のまさかり-鉄の技術以前
己-土 もともとは縄の意味
庚-金 両手に武器を持っている-先に金物
辛-月 小さいナイフ-罪人の額に彫ものをした 三日月型のナイフ
壬-水 機織り機に糸が通る-水が流れるイメージ
癸-雲 円を作るコンパス
子 二三~一 赤ん坊を寝かしつける時間
丑 一~三 の原形 指を絡み合わせる時間
寅 三~五 矢が的にあたる 行為の時間
卯 五~七 目を表わす 目を醒ます時間
辰 七~九 耕具 耕作の時間
巳 九~一一 祀の原形 祈る時間
午 一一~一三 杵 こっくりする 昼寝の時間
未 一三~一五 未=末で穂(末端)の意味 穂を拾う時間
申 一五~一七 束ねる ものを束ねる時間(片づけ)
酉 一七~一九 酒の原形 晩酌の時間
戌 一九~二一 守衛↓後に犬の意味 家の回りを見回る時間
亥 二一~二三 骸の原形 死んだ猪 死んだように眠る時間
周代になって五行説が生まれ
甲乙を木、丙丁を火、戊己を土、庚辛を金、壬癸を水にあてはめた
五行から別れて十干ができたわけではない-日本の学者のまちがい
殷の時代には、現代で考えるような哲学などなく、漢字の意味も単純だった
爻-卦 は、神農族がイラクから持ってきたもの
干-支 は、漢民族によるもの
◎調身 功法の第三段階
0 地(坤) 仰向けに寝て楽にする。手足はまっすぐ伸ばす。
時間のきまりはなく、自分がくつろげればそれでいい。
1 雷(震) 仰向けのまま、両足を曲げ、両手の指を組んで両膝を抱え込む 十回くりかえす。
2 水(坎) いずれも仰向けのまま。
上波 首を持ち上げ自分のへそを見る姿勢。7回
中波 尻を持ち上げる。 6回
下波 つま先をそろえ四五度に足を上げる。7回 計20回
3 沢(兌) 座って足の裏を合わせ、両膝を下向きに押し下げる。30回
4 山(艮) 沢の姿勢に加えて上体を前方に突き出し、あごを上げる。4回。 肝臓に良い。続けてやりすぎると体にきつい。
5 火(離) 立ち上がって、両拳を肩のまえでつくり、真上に向かって 突き出す。力を抜いて柔らかく。5回
6 風(巽) 火と同じく、今度は前方に向かって両拳を突き出す。6回。
同じく、側方に向かって両拳を突き出す。6回
7 天(乾) 立ったまま、掌を下向きに、両腕を水平に伸ばす。
そのまま上体を反り返らせ、掌を上向きに返しながら上を向く。
7回。
南華密教 第七回講座 張 明澄 先生
平成七年五月十四日 午後一時~五時 於 豊洲区民館
◎この頃、起こっている話題
○オウム真理教について、前回は密教の原則に基づいて考えた
三諦=天台智 の見落としていた部分-真諦や仮諦は自然発生現象
「作諦」「誘諦」という概念を導入しなければならない
日本の今の情報は、「作諦」という情報がかなり多い。
なぜ高学歴の人たちがオウム真理教にはいったか?
世代的にみると、アニメを共有する世代
麻原彰晃は、信者たちとアニメを共有できる教祖
理工系の出身者が多いのも特徴-
理工系の学生は就職しても、なかなか実験もなにもさせてもらえない。
日本の社会のなかでは特に役に立つこともできないが、オウムでは役に立てる○どうしてこうなったか?
日本の宗教学者たちのまちがい-もともと宗教は天下取りをねらうもの
社会史=歴史学的に見れば宗教とはそういうもの
キリスト教はヨーロッパを乗っ取った。イスラム教は中近東をとった。
仏教はチベットを、儒教は中国をとった。
日蓮宗=創価学会-公明党をつくりさらに小沢と組んで新進党をつくった
宗教は、天下取りなどの目的のために、すごいノウハウを持っている
最高のノウハウは宗教から生まれる
われわれは、南華密教を学んでこうしたノウハウを個人の処世につかったら、 ありあまるものが得られる-天下取りだとめったに成功しない
※仏教のノウハウのなかでも、最高のものが「さとり」
知っていることをそのままやれればなにも失敗がない
オウムの失敗の原因-赤軍くずれ?=早川一派の加入
性急な武装蜂起計画-いそがばまわれ
オウムは、省庁体制をとりながら、通産省がない-まともに金を稼がない
○青島新都知事-都民が最適候補者に投票しただけ
どこがいいともいえないが、悪いところもない
最適任は上田哲=当選の可能性ない
石原=政官財のいいなりにしかできない 岩国出雲市長=田舎もの
大前研一=予想があたったことがない
消去法で青島にならざるをえない
○日本の貿易黒字問題
日米構造協議-なにをやっても効き目がない-結局日本の物価が高すぎる
生産性↓所得↓物価
生産が百兆円、所得が六十兆円とすると、残りの四十兆円を輸出すれば良い
ところが物価が高いために、六十兆円の所得で三十兆円分しか消費できないと 七十兆円分を輸出にまわすことになる。
外国が日本のものを買うために、円を買うから当然円高になる
これだけ物価が高いと構造協議などではどうにもならない
生産性の低い部分=役にたたない官僚などがいると、物価に反映してしまう
事務員二人に役員四十八人など、なにもしないで高給をとっている
畜産事業団-輸入肉を高くするだけ-畜生事業団
○現在の日米交渉
前にブッシュが宮沢にねじ込んで、車の部品を売りつけた
いままでで唯一の効果のあった方法
橋本龍太郎-政府が民間に強制などできない=正論
アメリカ側-ほかに方法がない、世界中で日本だけはこれができる
できることはやるべきだという主張
どちららが正しいとも言えないが、いまのところほかの方法がない
◎西遊記 第三十二回~三十五回 金角銀角
前回、黄袍怪の難を逃れた三蔵法師の一行、さらに進んでいくと
「平頂山」というところにさしかかった。
この山の「蓮花洞」には「金角大王」「銀角大王」という兄弟の妖怪がおり
三蔵一行を食べてしまおうとねらっていた
孫悟空は、猪八戒を先に行かせて様子をみるが、八戒は捕えられてしまう
さらに、銀角大王は呪文をとなえて、まず「須弥山」を呼び寄せて孫悟空の上に落として、押さえつけようとしたが、孫悟空は平気で、左の肩で受けとめてしまう。そこで今度は「峨眉山」を呼び寄せたが、孫悟空はこれを右の肩で受けとめ、二つの大山をのせたまま、平気で走ってゆく。
驚いた銀角は「泰山」を呼び寄せ、悟空の上に落とすと、さすがの孫悟空もつぶされてしまい、三蔵、沙悟浄と馬も銀角に捕えられてしまう。
山の下敷きになった孫悟空は、山の神を呼び寄せて山をもとに戻させ、ようやく自由の身にもどると、三蔵らをとりもどしにかかる。
金角銀角は、孫悟空が追ってくるのを見こして、対策を練る。
金角・銀角には、「紅葫蘆」(ひょうたん)と「玉淨瓶」という宝物がある
これを持って相手の名を呼び、返事をすると、中にすいこまれてしまい、やがて溶けてしまう。
金角・銀角は「精細鬼」と「怜悧虫」という妖精を使いにやって、孫悟空を吸い込ませようとするが、孫悟空はすでに山から抜け出しており、道士に化けて、二つの宝物をうまくだましとってしまう。
金角・銀角にはその他に、戦えばかならず勝てる「七星剣」、扇げばどこからでも火を扇ぎだせる「芭蕉扇」という宝物をもっている。
さらに彼らの母親とあがめる「九尾狐」には、投げるだけで相手を捕えることができる「幌金縄」という宝物がある。
孫悟空は、九尾孤を殺し、次々に宝をだまし取り、金角・銀角大王を紅葫蘆と玉淨瓶に閉じ込め、三蔵たちを助けだす。
すると一行の行く手に太上老君があらわれ、宝物をかえしてくれという。
聞けば、金角は金の炉を番する童子、銀角は銀の炉を番する童子、また宝物もすべて、二人が盗んできた太上老君の持ち物とわかった。
そこで宝物をすべて太上老君に返すと、金角・銀角はもとの童子にもどった。
○金角とは大金の圧力、銀角とは小金の圧力
仏教の修業の過程でだれが金銭の圧力や誘惑に勝てるか、かてないか
孫悟空=功法修業者以外はだれも勝てない
三蔵=経典研究者、沙悟浄=寺院経営者、猪八戒=戒律守持者、
いずれも金銭的誘惑には勝てない。
功法修業者のとっては、功法は金銭にくらべてはるかに価値が高い
金銭のために功法をだめにするような人は、まずいない。
平頂山・蓮花洞-平頂とは中国語でお金のこと。蓮花も同じ。
※孫悟空がなぜ須弥山と峨眉山でつぶれなかったのに、泰山でつぶされたか?
須弥山は仏教の聖地、峨眉山は道教の聖地-つまり功法修業者は仏教や道教側 からの圧力には強い
泰山は儒教の聖地-儒教は体制・権力側だから、功法修業者も権力に対しては ひとたまりもない
西遊記の書かれた明代は、陽明学がうまれるなど儒教が盛んな時代
中国の元の時代はチベット密教が国教であり、この間に中国密教が発展した
明の時代には仏教は前王朝の象徴として弾圧の対象になった 台北市の陳水扁新市長-蒋介石親子の肖像をすべて撤去させる
精細鬼-精細は非常に細かい。鬼は夢中になる人。酒鬼=よっぱらい
煙鬼=ヘビースモーカー、懶鬼=なまけもの、色鬼=色魔、好吃鬼=大食漢
怜悧虫-非常に小聡い、こざかしい。
※功法をやった人なら、小さいことにこだわらないし、小賢しいこともしない
孫悟空がこの二人をかんたんにだましてしまう
紅葫蘆-わいろ。中国で賄賂のことを紅包という-赤いつつみはお祝いののし 袋と同じで、賄賂を赤いつつみにいれてゆくことから
玉浄瓶-玉は防禦の禦とおなじ発音-浄を防禦する瓶-やはり賄賂のこと
七星剣-金がらみの脅迫
芭蕉扇-扇動・金がらみのそそのかし。芭蕉はバナナの葉。
幌金縄-束縛・金でしばる、義理人情のしがらみ
九尾狐-だまし
功法修業者はわいろ、脅迫、そそのかし、束縛、だまし、のいずれにも屈することがない。小金はもちろん、大金の圧力にも屈しない。
金角・銀角が太上老君の弟子だったということは、世の中で道教が一番金にき たない、また金をもっていることを意味する。
○三蔵=経典研究者、沙悟浄=寺院経営者、猪八戒=戒律守持者、は金銭の圧力 には屈してしまう。
これらの人たちは『金剛経』を読んで、精神的な訓練をする必要がある
金銭というものは非常にあいまいなもの
例1、赤坂のクラブ-バブル崩壊で客が減りやめたい。借家権などを2億で売り たいが、七千万なら買い手がある。やめるだけならただ。
例2、張先生の友人の父親、中国に勉強にゆく。留守のあいだ、借りている建物 に留守番をおく、ところがこの父親が死んでしまい、友人は留守番の人に六千 万円払って出てもらおうとしたが、逆に留守番が一億二千万で権利を買い取っ た。留守番としては、家主から何億かの立ち退き料を貰えるつもりが、バブル の崩壊であてがはずれ、首吊り自殺未遂をおこした。
このように金銭というのは非常に不確かなもの。
『金剛経』のなかで、お釈迦様が須菩提に諭した言葉
凡所有相 およそすべての相は
皆是虚妄 皆これむなしくみだり
若見諸相非相 もしも諸相を相にあらざると見れば
則見如来 すなわち如来を見る
所有=すべて 虚妄=本当は実体がない 諸相=いろいろな存在と現象
非相=そう見えるまぼろしにしぎない 見如来=仏を目の前にする-悟る
すべての存在と現象は、その本質から出た実体ではなく、
ただいろいろな関係からそう見えるまぼろしだけです。
これらの存在と現象をみて、本質から出た実体ではなく、
ただいろいろな関係からそう見える実体のないまぼろしで、
ほんとうの存在や現象ではないと知れば、仏を見たのと同じです。
金銭という存在や現象も、ただまぼろしだけであるとすれば、
その圧力や誘惑も、まぼろしにすぎない。
では、お金の実体というのはどこにあるのか?
自分が使ってしまって、返ってきたところにある。
たとえば何かを食べておいしかった、
誰かにお金をあげてよろこばれた、など
使ってしまって、はじめてさっきのは自分の金とわかる
お金は使うもので、お金に使われてはならない
張先生のいとこに、すごい金持ちの兄弟がいる。ところがあまり大きな財産なので、長男は、相続の手続きすらできず、弟にすべてまかせて毎月配当だけもらっている。ほかの兄弟は相続した土地を一部売って事業をするなど、それぞれに成功しているが、台湾では一時土地の値上がりが激しく、なにもしなかった長男が、結果的にはいちばん金持ちになった。
しかしこの人が実際につかうお金は、弟から毎月渡されるお金だけ。
張先生の場合-お金はすべてこの社会に貯金しているつもり
講義や印税などで、そのつど引き出している
安定したお金=社会が必要とする労働力を、自分が持っていることが大切
いつでもお金が入るような人間になること
たとえば肉体労働者も必ず必要とされる仕事
一切有為法 一切の有為の法は
如夢幻泡影 夢幻泡影の如し
如露亦如電 露の如くまたいなずまの如し
応作如是観 まさにかく如く観るとなせ
すべての存在と現象には実体があるわけではなく、ゆめ・まぼろし・あわ・かげ・つゆ・いなずま、のようにはかないものです。おかねとて同じです。
諸行無常というように、すぐにかわってしまうのもしかたがない
すべてがお金の力と思うとそうでもない
たとえば「信用」という問題-現在、小型コンピューターは台湾製がもっとも安くて優秀。ところが米国では日本を通して、台湾製コンピュータを買っている-いままでの実績から、日本でチェックしたものを買う。
◎付録 講義後のお食事会-銀座「びいどろ」にて
都知事選-消去法で青島を選択-「青島有利」の報道が決定的
村山のあとは村山?-海部がでてきたらなにもならない
オウム真理教の解体よりは自民党の解体のほうが急務
オウムは通産省がない。飲食店やパソコンショップも信者獲得のために注ぎ込んでいる。阿含宗あたりでも喫茶店をつくって利益をあげている
テレサテンの国葬-台湾政府が大陸系の人をおろそかにしないという意味
十二支の五星-十二宮の実星の管轄をあらわす
亀は万年-小型の亀は長生きしない。象亀のように大きなものは長生き
鶴は千年-中国でも鶴亀は縁起のよい動物
人間は進化の頂点と言われるがほんとうにそうか?
胃腸も老ける-ある特殊成分が吸収できない-カルシウムなど、食べてもだめ 西洋医学ではあまり解決方法がない-点滴では甲状腺がついてこない
アトピー-胃腸の未成熟-分解した粒子が大きい-白血球が外敵と見て攻撃
皮膚科よりは小児科-大人になるとなおるアトピーの場合
寝るとき頭をどちらにむけたら良いか?-とくにきまりはない
梁が体を横切ると寝つきが悪い-立て方向なら問題ない
観音様の祭り方-台湾では魚籃観音が一番多い=西遊記の「通天河」霊感大王
正体は金魚の化物-観音様のカゴのなかに捕われる-
霊感などは煮ても焼いても食えない金魚のようなもの
日本では禅寺でも観音様を祭っている-宗派間の争いがあまりなかった
悟り=知行合一=知識は多いほうが良い
日本人は遊牧の期間がない-協調がないとなにもできない-罰則が甘い
受信料を払わない人がいても-払う人だけで間に合わせる
規制緩和-欧米との和を保つためにいちおう約束するができない
中国の著作権問題-できるだけとしか約束しない
日米交渉-日本はとにかくまとめよう-アメリカは約束だけ守れ
日本ではトラブルを起こさないことが第一
南華密教の教えは、当時当地の知識はすべて吸収しなければならない
中国で伝えられたものは、現代科学で言えばどういうことか対応させて考える 鈴木大拙などにしても、現代につなげない
日本の高野山などは、中国の密教を正しく保存したといっているが、
中国の初期密教を保存しただけ
コーヒーのカフェインは強心剤-慣れてしまうとなくてはいられなくなる
神経が興奮する
ニコチンはボケ防止によいが、1日二本ずつくらい吸う人がいない
女性の妊娠中などはやはり避けたほうが良い
煙草を吸うのは結局幼児性、酒を飲むのも同じ。憑依現象を楽しむようなもの アルコールの良さは血行を良くする-動脈硬化の防止-飲み過ぎればかえって 動脈硬化を起こしやすい。一日盃二杯くらいにすれば健康に良い
地獄の焔魔大王とか針の山などというのは、中国でできた。
唐王朝をつくったのは、高祖(李淵)と次男の李世民(太宗)-李世民が軍隊 を押さえていた。これに対し、長男と三男が結託して李世民を殺そうとした。 これを魏徴という策士が計画を練って、高祖の側室と長男を通じさせ、その罪 を李世民に着せて死刑にしようとしたが、軍隊がクーデターを起こして失敗す る。長男と三男は死刑、高祖は幽閉、太宗が即位した。魏徴は太宗に能力を認 められ首相として太宗に仕えることになった。この太宗の時代は貞観の治と呼 ばれる最も政治の良かった時代。死刑囚を放しても戻ってくるほどだった。
これは魏徴の考え出した、地獄や閻魔大王のストーリーを、全国で上演させた 成果-嘘をついたら舌を抜かれるなど-死ぬよりも地獄のほうが恐い
太宗は、濡れ衣を着せて自分を殺そうとした魏徴をあえてとりたてた
魏徴は太宗に「各為其主」(おのおのその主の為に)と述べたという
※西遊記のなかで、玄奘三蔵が天竺に取経することになったきっかけは、魏徴が 夢の中で龍を斬り、太宗が地獄をさまよったところから始まっている
○質問 精神分析で、内面のイメージで地獄の光景などがでてくることがあるが そういうものは、阿頼耶識のなかにはいっているものですか?
私たちには「先験的認識」というものがあって、人間ならだれでも生まれつき 他界・霊魂・神様などを信じている。こうしたものは「経験的認識」によって 否定されてゆくが、潜在的に意識のなかに残っているものもある。
ユングの言う「集合無意識」というのは民族単位の事で、「先験的認識」は全 人類に共通のもの。
現代科学のような「経験的認識」に頼るものは、実用的で再現性に優れる。
「先験的認識」は知っているだけで再現性がない。
アメリカのカウンセラーは、離婚をすすめることはない。基本的にまとめる方向で考える。あまり現実的でない。
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南華密教 第八回 張 明澄 先生 講義・功法指導
平成七年六月四日 池袋メトロポリタンプラザ 講義録編著-掛川掌瑛
◎前回の西遊記。金角銀角の挿話は、金銭の誘惑に対して抵抗できる者は、
まず功法修業者であること。
金銭で得られない世界を体験すれば、お金というのは使うものであること。
お金に使われたら馬鹿馬鹿しいと考えるようになる。
今、これだけの金を得るために、どれだけの代償を払うか?
ファーストフードの店で一日中働いて百円もらうようなものではないか
村井を殺した徐という人、仮に一億円もらったとしても、引き合うだろうか また一億円くらいの金がわけもなくはいってくることもあるのではないか 行によってお金で買えないものを得られるようになると、このように、
はいってくる金と支払う代償のバランスを考えるようになる。
またはたして、そのお金は、自分にとって本当に必要なものか
子孫にお金を残してやるとしても、それほど苦労しなければならないか
◎西遊記 第三十六回~三十九回 青毛獅子
三蔵一行が「宝林寺」という寺に宿を求め、その夜、三蔵ひとりが起きて経を読んでいると、幽霊があらわれ、自分は「烏鶏国」という国の国王であったが、4年前にこの国ではまったく雨が降らず、困っていたところ、一人の道士がやってきて雨乞いをすると、たちどころに雨を降らせてくれた。
そこで国王は、この道士と義兄弟の縁を結び大切にしていたが、ある日いっしょに王宮の庭を歩いていたら、井戸のなかに突き落とされ、埋め殺されてしまった。さらにこの道士は、国王の姿になりすまし、国王のかわりに国を治めている。 閻魔大王に訴えても、宗教法人には手が出せないなどと言って、とりあってもらえないので、幽霊になって三蔵法師に願い出て、孫悟空にかの道士をやっつけてもらいたいという。
三蔵一行は烏鶏国に入り、真夜中王宮の井戸を開け、国王の死体を掘り出すと、孫悟空は太上老君から仙丹をもらってきて、国王を生き返らせる。
本物の国王をつれて王宮に行き、偽国王を暴き、逃げだした妖怪を追いかけて、殺そうとすると、文殊菩薩が現れ、実はこの妖怪は文殊菩薩の乗物の青毛の獅子だと言う。そこで獅子を菩薩に引き渡すと、菩薩は五台山に帰っていった。
○青毛獅子-獅子というのは権威を意味する。
仏教で、説法する事を獅子吼という(維摩経 能獅子吼名聞十方)
青い-未成熟、未完成、ニセモノ
青毛獅子=にせの権威・内実の伴わない権威
修業の過程での障害になるにせものの権威への盲従
孫悟空-功法実践者以外は、あまりかなわない
日本において、鈴木大拙の禅に対して批判したり間違いを指摘する人がない
鈴木大拙がアメリカで出した本に対して、胡適が批判している。
禅は非理性、円の中心がいくつもあってもかまわない=鈴木大拙
胡適の批判は、-非理性では理性以下になってしまう。
禅は超理性である。円の中心がひとつしかない事を知った上で、無意識のなかにそれを踏まえた行動ができなければならないというもの。
日本の経典学者は、誰も鈴木大拙の間違いを正せない。
経典研究者は権威に盲従しやすい。
○胡適-国共内戦で、天津がすでに共産党軍に包囲されていたとき、蒋介石が、 飛行機を飛ばせて胡適を乗せ、台湾につれてきた。
このとき、ほかに故宮博物院の骨董品と、四庫全書、さらに甲骨文字学者の董作賓も台湾に連れて逃げた。
董作賓は日中戦争中、山のなかに資料をもって逃げ、甲骨文字を研究していた。蒋介石が連れ出しに行ったとき、国共内戦も知らなかった。
蒋介石は暴力団あがりで、なにが人々を引きつけるかをよく知っていた。
胡適は実証哲学者で、白話文学の提唱者。思想家として欧米型市民社会を中国にもたらそうというした。
多くの中国人が台湾に渡り、華僑人が中国よりも台湾よりなのは、胡適の存在が大きい。
独裁者の蒋介石とは相容れず、アメリカで暮らし、このとき鈴木大拙を批判したもの。
台湾において、政府の介在なしに行なわれた、最も盛大な葬儀が営まれた。テレサテンの葬儀は、胡適以来のもの。
功法実践者が権威に盲従しないのは、自分が功法をやっていると、相手がどれほど功法をやっているかすぐに見破ってしまう。相手がどれほどのものか、正しく値踏みできるから、権威に盲従することがない。
麻原彰晃がインドに行ったとき、修業者のだれもが鼻もひっかけない。お釈迦様の座った場所に座り込んで、ひきずり下ろされた。ダライラマと台湾政府は、政府レベルでは、反中国という点で、親しく交流があるが、仏教会や密教会では、ほとんど交際もない。 実力のあるチベット僧は、台湾の仏教徒のなかでもひっぱりだこになっている。
戒律守持者と寺院経営者は、権威に盲従するかどうか、一概には言えない。
○権威に盲従しないためには 日本の社会は特に権威に弱い
法相=唯識 日本では法相宗に唯識の伝統が消えている
原始→倶舎→空→識 唯識は仏教の最高の段階
○これが何であるか?
倶舎-どういう条件で分類したときにどこにはいるかによる
空- 分類したときどこに入るかは関係によって決まる
識- 同じ関係でも見方によって違ってくる
『解深密教』-深いつながりを解くお経
最も大切な部分-お釈迦様が徳本菩薩に説いた
謂諸法相略有三種 もろもろの法相、ほぼ三種有りと謂うが
何等為三 なになど三と為す
一者偏計執相 一の者、へんけいしつ相
二者依他起相 二の者、いたき相
三者円成実相 三の者、えんじょうじつ相
法相-存在・現象-ものごと
偏計執相-あまねく=普遍的に、計って=考えて、執着する物事
考え出された性質のもの-言語・言葉・記号・表出
私たちの認識のほとんどは、情緒・思考・知識
偏計執相とは、頭がでっちあげたもの
ブッシュマンにピストルを突きつけたら、つかみ取られてしまった。銃という概念がなければ、なにかのオモチャのように見えるだけ
このものはこうだと、思い込んでいるのは、そう教えられたか、
前に見たことがあるから。小さいときから黒板拭きと教わった
依他起相-他に依って起こったものごと。
そのものごと以外の他の力によって起こったものごと
外からの影響によって、そう認識するようになったものごと
黒板拭きが黒板の字を消すのを見て黒板拭きという認識を得る
アルプスなど雪のなかで救出犬のセントバーナードを、狼と思って打ち殺してしまう-雪と意識がぼんやりするという他の力のために、 自分を助けに来た犬という実質を、見誤ってしまう
円成実相-円満に成就された真実のものごと
真実なるもの・完成されたもの
ここでいう真実=悟り-知行合一が実行できるもの
自分で黒板ふきを使って拭いたら、字が消えた
偏計執相・依他起相・円成実相は、人によって違うから、たとえば黒板拭きを遊びの道具だと見なし、しかもいつも楽しくそれで遊んでいても不思議でない。 認識はひとりひとり異なる。
権威というのは、まわりから盛立ててくれるから権威になる-
従って、その人たちにとってだけ権威と言えるので、他の人たちからは、なんでもない。麻原彰晃でも、信者にとっては権威ということになる。そこで、麻原のほうが、盛立ててくれた信者に、感謝しなければならない。
権威というのも一種の「偏計執相」-本で読んだり、人に言われたり
その権威のまわりの状況が、権威として盛立てている
自分もそう思って、そのように処遇したら、うまくいった
結果として、自分にとっても、権威となっている
権威と見なしていない人からみれば、やはりなんでもない
世の中や他人が権威と言っているものでも、自分にとって権威であるかどうか
偏計執相で、権威と見えるものでも、依他起相で見るとどうか
ここまでで、権威らしく見えても、円成実相になっているかをチェックする
オウム真理教などを見て、偏計執相、依他起相の段階では良さそうに思えたとしても、円成実相をみれば、問題があることはすぐにわかる
依他起相の段階で止まってしまうと、オウム教団のあれほどの問題点も目に入らない-実際になにもうまくいっていないから円成実相にはならない
オウムの犯罪-オウム信者から見れば正しい-根拠はなにか?
○国家の論理
今、仮に中国が、日本は昔、中国の属国だったから、日本は中国の領土で、日本政府は認めないと主張したとする。
こういう状況のなかで、
日本の政府が、中国人から税金をとろうとしたら払わないので逮捕した
中国政府はこれに対し、国家でもないものが、不当な金銭強奪や拉致監禁だとして、軍隊を派遣して霞ヶ関を強制捜査しようとした
これを日本からみれば、日本国家に対する戦争行為であり、
自衛隊が北京に原爆を投下したとしても当然、となる
逆に、中国側から見れば、とんでもない反乱・争乱の類ということになる
これは、現実の状況や国際関係では、全然ありえない非現実的な話だが、
これを中国と台湾の関係に当てはめてみれば、十分現実味のある話になる
現在、中国は、台湾を領土の一部と考えており、これは国際的にも認められた形になっているが、台湾は自分を独立国と考えている。
台湾政府が大陸から来た中国人に課税したら、払わないので逮捕したとする。
中国政府は、台湾政府を認めないから、課税や逮捕も不当な強奪・拉致監禁であるとして、中国軍を高雄に上陸させようとした。
これに対し台湾側は、自分たちこそ正統な中国政府であると思っているから、中性子爆弾を北京に投下した。
中国政府と台湾政府は、どちらも自分が国家だと思っているから、結局これは国家間の戦争ということであり、どちらが一方的に悪いというわけではない。
台湾の中性子爆弾は、米国のものとも、日本のものとも言われている。
今度は、中国と台湾の関係を、日本国とオウム国にあてはめて見る
オウムには、各省庁がそろっていて、自分たちは国家だと思い込んでいる
ロシアと国交をもったり、武器を作って軍隊を準備して独立国のつもりでいる。 他の教団で、省庁制度をとったり、武器までつくるところは、まずない。
拉致監禁して金をとったりしたのも、自国民から税金を取ったり、逮捕したりするのと、同じつもりでいる。
警察の強制捜査は、オウム国に対する主権侵害-侵略行為ということになるから、敵国の首都に、サリン攻撃したところで、犯罪などとは思いもしない
そうでなければ、とてもこんな事はできるものではない
日本が戦争中、米国人や中国人を殺しても、国家の戦争であれば平気でできる 敵国の国民なら殺して良いというのが、国家の論理。
中国と台湾の関係などは、非常に微妙な問題で難しい
チベットのように、中国に占領されている国で、独立の機運が高まれば、中国と戦争状態になり、まともに立ち打ちできないとすれば、北京でサリンをまくようなゲリラ活動を行なっても、何の不思議もない。
そうして見れば、仏教徒=宗教者だから、あんなことはするべきではない、とか、できるはずがない、などとは、とても言えない。
あらゆる物事は、法相三者(偏計執相・依他起相・円成実相)に照らして
その本質をよく見極めなければならない
唯識論というものは、単なる認識論=知識として知っているだけではなく、
自分がその立場にいたらどう考えたら良いか、とか、その立場にいる人はどんな考え方でそういう行動をとるのか、というところまでいかなければならない。
〇実学 生理学
○単球・好中球・NK細胞は、いつも血液中を循環している
NK=ナチュラルキラー細胞は、外敵を見つけしだい溶かして殺してしまう
好中球は、外敵を見つけると、飲み込んで、ともに消えてしまう
大食細胞=マクロファージは、相手を飲み込んで、自分の表面に相手の蛋白質HLAを出し、何が入ってきたかをHT細胞に知らせる-提示作用
HT細胞は、マクロファージからの提示を受けると、KT細胞とB細胞に命令 KT細胞は、外敵を取り込んだマクロファージを丸ごと破壊する
B細胞-形質細胞は、抗体を出して外敵を中和する-主に抗体Gの作用
○感染
外から入ってきた細菌やウイルスに対して、免疫が不足だと「感染」する
形質細胞がつくる抗体は非常に遅い-肺炎などは一週間くらいかかる
肺炎にかかって、一週間持ちこたえれば、抗体ができて回復する
佐藤栄作-もしソ連が来ても自衛隊が一週間持ちこたえれば米軍が間に合う? 風邪などは、何をやっても役にたたないことがあるが、
風邪ウイルスの活動期間は短いため、自然になおってしまったりする
淋菌などは、繁殖力が非常に強く、免疫がいくら殺しても間に合わない
菌というものは、細胞膜ではなく、細胞の壁をつくらないと繁殖できない
ペニシリンなどの抗生物質は、壁を作れなくするために、繁殖がとまる
エイズの場合は、特殊な蛋白をもっているために、マクロファージがこれを提示したときに、HT細胞が死んでしまうため、KT細胞も抗体も働けない
NK細胞や好中球は働くから、発病までには何年間も時間がかかるが、HT細胞が減少するため、あらゆる外敵に対して免疫が働かなくなり、やがては発病するようになる。ただNK細胞が非常に強いと、エイズ感染もしにくくなる
○ガンの場合 体内免疫の反応不足
ガン細胞は自分の体の細胞が変化してできたもの
一日だれでも、少なくても五百個のガン細胞ができている
これを、大食細胞、好中球、NK細胞がやっつけている
ところが、一度に大量のガン細胞ができると、この三つでは対処できなくなる そうなると、ガン細胞はもともと自分の細胞だから、HT細胞が外敵と認識できず、KT細胞には命令するが、B細胞には命令を出さないため、抗体ができず、ガン細胞をに対処しきれなくなってしまう
ところが、ガン細胞はときどきドジを踏むことがあり、マクロファージに取り込まれたときに、異常な蛋白質を出してしまい、HT細胞がこれを外敵と認識すると、B細胞が働いて抗体をつくる。抗体が働くと、わずか一昼夜ですべてのガン細胞が破壊され、一挙に回復してしまう。
新興宗教などで、末期ガンが治ったなどというのは、こういうこと
米国のスチュワーデス、子宮ガンであと三日の命と言われた晩に高熱を発し、翌朝起きたらなおってしまっていた。
※エイズにかかって自殺するのはいいが、ガンで自殺してはいけない
漢方薬でガンが治ることがあるのも、ガン細胞に漢方薬がはいって、マクロファージに食べられて出した蛋白質が、HT細胞に見抜かれた時に起きる
○アレルギー
対外免疫の過剰反応
作られた抗体のうち、抗体Eが肥満細胞にとりついて壊すと、肥満細胞に詰め込まれたヒスタミンが流れだし、いろいろのアレルギー症状を起こすようになる よくアレルギー症状の治療に使われる抗ヒスタミン剤というのは、
このヒスタミンの作用を消すための薬
○膠原病
体内免疫の過剰
マクロファージが間違って、自分のなんでもない細胞を食べて、その蛋白質を提示すると、HT細胞がKT細胞をつくって自分の体を攻撃させるために起きる
いろいろの免疫の関係をよく理解すると、なぜ病気がおきるか、わかってくる また、なおりそうもない病気が治るわけもわかるようになる
◎功法-調気
第六回の調身につづき、調気の動作を行ないます
調身は八卦の順序と、数に基づいて行ないましたが、
調気は十二経絡ごとに、動作がきまっています
手経- 肺 市の字はもともと肺をかたどったもの
心 心臓のこと
心包 心の下にある袋-胃袋のこと
小腸 腸は月にくづきと陽の原形-機能、小は水滴の意味で、体液循環機能
三焦 上焦=胸腺、中焦=脾臓、下焦=腎臓
大腸 大は全身、腸は体の機能、全身の連絡を良くする機能
足経-膀胱 旁は船、光はたいまつ、体の防衛-生体防禦
胆 正式には膽と書き勇気のこと、心身の調節
胃 胃腸全部を含む、暴飲暴食から胃をまもる
脾 膵臓、栄養調節 丁字馬(足)
腎 臣は奴隷、又は右手、貴族に不可欠-副腎 腎=皮質 命門=髄質
肝 干は盾-免疫のこと
※実際の動作はビデオでご覧ください
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南華密教 第九回 張 明澄 先生 講義
平成七年七月二日 於池袋メトロポリタンプラザ 講義録編著 掛川掌瑛
◎前回の『西遊記』=「青毛獅子」のテーマは、「権威盲従」という問題。
「空」論や「唯識」を学べば、権威などというものが、絶対的なものではなく、ある関係によってなりたっており、とるにたりないものになる。
イエス・キリストといえども、認めない人からみればなんでもない。
権威と言うのは支持者があることによってはじめて成立する。従って権威となっている人は、支持者や信者に対して感謝すべきである。
仏教以外の宗教はこういうことを言わない。
宗教の信者は、誰を支持しようが、どこの宗教に行こうがかまわない。逆に教祖の側は信者を選ぶべきではない。破門などというのはやくざだけ。
キリスト教などで、犯罪を犯した人でも最後まで見捨てない。
いつも権威に対して盲従しないこと。自分が支えているから権威になっている。
オウムを支持した宗教学者-世間からたたかれる
麻原彰晃はオウム神仙の会の時代に、テレビの時代劇で人を斬るのを見て喜んでは仏の道にそむくと言った-これを聞いて麻原を支持したので、サリンを撒いたのを支持したわけではない
禅では、これをよく教えている。ものごとはその時その時で事情が変わる。
ある修行僧が、師匠から鼻をひねられて泣いた。しばらくして教室で講話を聞いて喜んで笑った。これを見た弟弟子が不思議がったら、さっきは痛かったから泣いた、今は良い話を聞いてうれしくて笑った。さっきはさっき、今は今で事情が違う。
◎実学
生命科学-いのち
いのちといのちでないものの境界線は非常に難しい。 ウイルス=半生命
南華密教における生命のしくみの考え方-中国的な考え方が主体
○五体
よく五体満足などと言われるが、手足や胴体などの意味ではない。
「力・精・気・神・識」を五体という
「体」という字は本来「ほん」と読むべき
からだを意味する漢字は、昔「體」(タイ)と書いたが、面倒なので「体」 で代用していたので、読み方も「たい」と読む。
「体」はからだの事ではなく、人間の根本の意味を持つ。
りき
○力-陽力=力 自分以外のものに及ぼす力-押す、引く、支えるなど
陰力=持 自分のために使っている力-立つ、座る、寝るなど
生命の有無にかかわらず、自然界すべてのものに「力」がある
せい
○精-陽精=営 対外的にある目的を達成すること=あらゆる行為いとなみ
陰精=生 自分の体内で目的を達成すること=生命の維持-心臓・血液など 半生命体以上にだけ「生」がある
*エネルギー=力にさからって、ある目的を達成すること
新幹線がホームにとまっている時-「持」=陰力を出している
乗務員や乗客などが乗り込む-「力」=陽力が発生する
新幹線が発車し、目的地に向かう-「営」=陽精-エネルギー
○気-陽気=動 興奮-動くことによって秩序を保とうとする機能
陰気=静 鎮静-動きを止めることによって秩序を保とうとする機能
ファンクション
「気」は一種の機能-秩序を保つ機能。生命体にだけ「気」がある。
物質やエネルギーの総量は増えないなくならない-熱力学の第一法則
エントロピー=秩序は手を加えないかぎり崩れて行く-熱力学の第二法則
生き物には、秩序を保つ機能がある
○神-陽神=受 感覚-前五識=視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚
陰神=想 感情-第六識=感覚によって生じるイメージなど
「神」は感受。高等動物にだけある。
○識-陽識=行 第七識-自分の言動を決定するエネルギー
陰識=識 第八識-生まれてから今までの思考言動の記録・意識・阿頼耶識
「識」は人間にだけある。動物には記録がない
誰でも生まれたときに親からもらうもの。
「識」はそのまま「識」として使うものと「神」に変えて使うものとがある。
脳から「識」が心臓までおりてきて「神」になる(生理学的にはまちがい)
「神」は感受として使うほか、心臓から腎(副腎)までおりてきて「気」になる。
「気」は経絡によって全身に配られ体の秩序を保つために使う。
「気」は骨の中にはいって血液にかわる。
「精」は全身のエネルギーとなる。また筋肉にくばられて「力」にかわる。
気功などで、健康になったり長生きする 原理は、まず「力」や「精」を節約して「識」が減るのを防止する。
十単位の「力」が一単位の「精」
十単位の「精」が一単位の「気」
十単位の「気」が一単位の「神」
十単位の「神」が一単位の「識」
と、いわれている。 同じ体験(受)でも「識」によって「想」が異なる。
脳 → 心 → 腎 → 骨 → 筋肉
「識」が同等の場合「想」は同じようになるが、「行」まで同じとは限らない。
つまり、同じ料理を食べてもうまいと感じるかまずいと感じるかはその人の食歴などによってことなる。
同程度のグルメで、同じようにまずいと感じても、どんな態度をとるかは、生活体験や信条などによって、やはり違ってくる。
動物には「識」がない-動物には決定権がない(動物学的には不明)
空腹のライオンの檻にウサギをいれれば、普通は必ずおそいかかる
ライオンが悪いわけではなく、ライオンには「行」がないからと、理解される
ただしこれは人間の勝手な理屈で、脳が発達していることが良いとは限らない
かえって余分なものを持ちすぎているかもしれない。
◎南華密教の「医学」 人の病気と治療の原理-五体生理学を基本とする
第一に「気」を対象とする-からだの秩序の回復
次に「精」と「神」 -「神」は精神的疾患 「精」は生殖能力など
「識」と「力」は治療対象外 馬鹿につける薬はない?
※「気」とはなにか?
「原気」=大自然界に漂っている気(元気)
「生気」=生命体を維持する気
五体を五行に分けると、
識=木 陽識=甲・陰識=乙 他人に与えられる
神=火 陽神=丙・陰神=丁 ↑
気=金 陽気=庚・陰気=辛
精=水 陽精=壬・陰精=癸 ↓
力=土 陽力=戊・陰力=己 他人に与えることができない
次元が高いほど他人に与えることが可能
「力」はまったく他人に与えることが不可能。
「精」は少しくらいなら与えることができる-学習の指導・訓練など=「精功」
「気」は確実に与えられる方法がある
「気功」-「気」の量の増加、または経絡のなかの「気」の流れをよくする
気功治療法-注督術
「気」をたくさん貯えている人が、「小周天」という方法で「気」を増やし、流れをよくして、「気」を丹田から背中を回して頭を通し、胸の下部にある
膻中というところに集中させ、手の平の労宮というツボを相手の背中にある夾脊にあて、「気」を流し込む。
「気」は授受が可能であり、昔は「気」の売買すらあった
ただし「気」も他人に与えれば減るし、もらえば増える-能量不変
「気」を人にあたえるには、かなりの修行により気を貯えることが必要になる
南華密教では、当時当地の最高知識で否定されたものは扱わない
当時当地の知識レベルでは肯定も否定もされていないものなら扱える
現代科学では、時間の作用についてなにも言っていないから、推命は可能
外気功は、物理学の法則に反するから認められない
実験によると、確かに効果はあるが、ニセ外気功師がやっても変わらなかった
本物の気功治療法でも、効果を確認するのはなかなかむずかしい。
もし外気功が本当なら、むしろ物理療法という事になる
○「神」の功法を「神功」という
「気」と違って、特に練習しなくても他人に与えることができる
人が苦労すると、「陰神」が減り、自分にとって使い物にならない「蔭神」に
かわる。これはいつまでも残っていて、他人に与えることができる。
ベテランの看護婦など、苦しんでいる患者の手を握るだけで苦痛をやわらげる。 どこの病院にもこんな婦長がひとりくらいはいる-苦労している「蔭神」がある 若くて美人の看護婦に手を握ってもらっても効果がない-「蔭神」がない
痛みというのは「気」の問題(秩序)
「積木くずし」穂積隆信の娘-島倉千代子にあずけておくと悪いことをしない
島倉千代子は離婚借金ケガなど、苦労して「蔭神」を多く持っているらしい
○「識」を与えるのは、子供をつくりさえすれば与えられる。
「病気」とは「気」がおかしくなったということ
しょう
「気」の「性」-熱作用(温)=興奮 と 寒作用(清)=鎮静
びょうしょう
○「病性」-「熱証」と「寒証」
体のなかで陽気が陰気よりも強くなりすぎると「熱証」 陽気>陰気
陰気が陽気よりも強くなりすぎると「寒証」 陰気>陽気
熱証の人は、顔が赤い・暖房ぎらい・トイレが遠い・尿量少い・便秘しやすい
寒証の人は、顔が白い・冷房ぎらい・トイレが近い・尿量多い・下痢しやすい
西洋医学的には、熱証=交感神経興奮型と寒証=副交感神経興奮型
○「病勢」-「実証」と「虚証」
経絡のなかを流れる「気」の量が多すぎて流れにくい=「実証」
「気」の量が少なすぎる=「虚証」
虚証の人は、体がだるい・汗をかく・尿が近い・下痢しやすい
実証の人は、あまり汗をかかない・尿が遠い・便秘しやすい
漢方・中医学の根本原理
「熱寒」の程度と「実虚」の程度により方剤が決定する。
図では、普通の「寒」で普通の「実」 この座標のことを「証」という
座標点が葛根湯を示していれば、この「証」は「葛根湯証」となる
「証」を0.0の座標点に近づけようとするのが、漢方の方剤
「証」とは症状と方剤の座標的一致点。
「気」とは反エントロピー的機能。
日本の漢方界では、この二つの言葉の定義がいまだにできない。
漢方医学は哲学的・実践的的、西洋医学は科学的・理論的という誤解
実際にはあべこべで、漢方は科学的・理論的、西洋医学は哲学的・実践的。
漢方医学は「数理」の段階。「証」の座標によって方剤が決定する。
西洋医学は「計量」の段階。検査の数値だけでは治療がきまらない。
「気」は自分で量を増やしたり減らしたりして調節する
また「陽気」と「陰気」のバランスを保とうとする
この二つの機能がうまく働かなくなると病気になる
「気」の量が多すぎると「実証」 少なすぎると「虚証」
量がちょうど良くても
「陽気」が多すぎると「熱証」
「陰気」が多すぎると「寒証」
「実証」には麻黄・大黄・紫蘇など、「気」を減らす薬
「虚証」には朝鮮人参・白朮など、「気」を増やす薬を用いる
○人間の各部分に、受け持つ「気」がある。
陰=臓 陽=腑
肝木気 神経・分泌 (酸) 肝(肝臓) 胆 (胆嚢)
心火気 循環・血液 (苦) 心(心臓) 小腸(脾臓と腎臓)
脾土気 消化・栄養 (甘) 脾(膵臓) 胃 (胃腸)
肺金気 呼吸・代謝 (辛) 肺(肺気管支) 大腸(全身の調節)
腎水気 防衛・泌尿 (鹹) 腎(副腎) 膀胱(免疫)
○南華密教で弱い部分-数学がほとんどはいっていない
当時は計量くらいで、数理があまりなかった
=(イコール)の左右は必ず同じ-これを利用してゆく
◎病気の考え方・治療法-次の五つに絞ってみる
○ガン ○高血圧 ○糖尿病 ○アトピー ○肥満
現在、非常に間違った治療法がとられている。
高血圧で降圧剤を飲みつづけると、非常にボケやすい。
ほとんどの高血圧の原因は、脳細胞が栄養を要求しているために、血液が大量に脳に送られ、その結果血管が圧迫され高血圧になっている。血管を守るために降圧剤を飲み続けると、脳が栄養不足になり、はやくボケてしまう。赤血球にもっと脳の栄養を入れることができれば、少ない血液でまにあい、高血圧を解消できる。
○最新の情報ではどういっているか?
すでに学会で認められているもので、治療の現場で取り入れられていないものがたくさんある-医者の不勉強
NK細胞が非常に強い人はガンにかからない、エイズにも感染しない。
エイズ治療にあたっている医師でも、ことを知らない人が多い。
○根本的に西洋医学の考え方が違っているところがある
生物学的におかしかったらやはり治らない
数理的におかしい治療法は良い効果がでない-イコールの左右が違ってしまう
もともと標準細胞というのは単細胞生物の細胞。細胞は適当な栄養と空間を与えれば無限に増殖する。
人体の細胞がある大きさで止まるのは、調節因子がそこにはいっているから。
ガン細胞が無限に増殖するのは調節因子が抜けたためで、ガンの治療法は調節因子をまた入れてやれば治る-生物学的・数理的に正しい。
現在の治療法は、人間の細胞を標準細胞と考え、外からガンを発生させる要素が加わったと見て、これを取り除く方法をとっている。実際には実行不可能な方法であり、ガンをまるごと切り取ってしまう。
統計数字では日本のほうが台湾よりも3倍も金持ちということになっているが、実際の生活では台湾のほうがはるかに裕福な生活をしている。
住宅の総面積を住民の数で割れば、日本の一人あたりの居住面積は、アメリカに負けないが、実際にはウサギ小屋と呼ばれている。
単純な統計では実情がでない。
台湾の所得を100とすると、日本は340。
所得に占める賃金の割合をは台湾を100とすると、日本は33。
日本の所得は高いが賃金は低い。
◎西遊記 第四十回~四十二回 「聖嬰大王」
青毛獅子を退治して、三蔵一行は高い山にさしかかりると、三蔵が妖怪にさらわれてしまった。
孫悟空が土地神を呼び出して尋ねると、牛魔王と羅刹女(阿修羅)の間に生まれた聖嬰大王と名乗る妖怪で、三昧真火という恐ろしい火を持っているとわかる。
孫悟空と猪八戒が妖怪の洞に乗り込んで戦うと、打ち合いに負けて逃げだし、
口から火を噴き出した。孫悟空はさんざんに焼かれ動けなくなってしまう。
そこで猪八戒が、観音様に助けを求めに行くと、聖嬰大王が観音様に化けて猪八戒を捕えてしまう。
そこで今度は孫悟空が南海に行き、観音様に訳を話すと、自分の持っている瓶に南海の水をすべて収め、孫悟空に持たせようとすると全然持ち上がらない。
観音菩薩は軽がると瓶を持って、孫悟空といっしょに聖嬰大王の洞にやってくると、瓶を倒してあたりを水浸しにしてしまう。
三昧真火を使えなくなった妖怪は、観音菩薩を槍で突こうとするが、金箍児にからめとられてしまい、これからは観音菩薩の付き人、善財童子となる。
観音菩薩の付き人のうち、恵岸は天上の李天王の息子。
○ここで言っていることは、修行にとって子供っぽい純真さが障害になること。
聖嬰大王=童心-子供っぽい純真さ・素朴さというものは、老子などは評価する しかし仏教ではもっと洗練されたものをよしとする。
童心というのは、仏教から見るとエレガンスやデリカシーに欠ける。
子供の心は、洗練されてない、動物の心そのもので、本能と感情でしか動かない。 反倫理、反道徳的なことでも平気で行ない、童心は仏の道にとって障害となる。 お釈迦様は生まれのままではいけない、人間が修行して仏になるから価値がある と言っている。
三昧真火とは、洗練されない心=童心からでてきた悩みと怒り、自己本位わがままそのもので、理性に欠けるために我身を焼き尽くしてしまう恐れがある。
仏の道の修行の結果、かえって子供っぽい素朴さや純真さができてしまうなら、修行してもなにもならない。
観音菩薩が、南海の水で三昧真火を消すと言うことは、この問題の解決法を示している。
方位で、南=離は智を意味する。
五行で、木=仁、火=礼、土=信、金=義、水=智
観音菩薩は、自在心つまり屈託のない柔軟な心を代表する。
智慧を持つことによりそれほど怒ることもなくなってくる。
物事の本質を見極めれば、サリンをまいた、大量に人を殺したからといって怒るのではなく、戦争の原理と同じこととわかれば、単に危険だから死刑にでもしたほうが良いと思うだけになる。
要するに高度の知識を身に付け、柔軟な心を持てば、怒りにまかせることもなくなる。
南華密教 第十回 張 明澄 先生講義 功法指導
平成7年8月6日 池袋メトロポリタンプラザ 講義録編著 掛川掌瑛
◎前回の西遊記
青毛獅子=権威の問題-麻原彰晃の権威は信者がつくりだしている
釈迦であれキリストであれ、権威というものは、それを信じる人々によってなりたっている。従って権威に対して盲従すべきではない。おかしいと思ったら信じるべきではない。
権威に対しても理性的でなくてはならない。
三昧真火=怒り みさかいがなくなり冷静さを失う-怒ったらいけない
観音菩薩の甘露水-自在心を持ち物事の本質を見極めればむやみに怒らない。
いろいろな事に対する怒りは相手をよく理解できないところからでる。
オウム信者に対する態度-救済するべきか、ほっておくか-おかどちがい
信者から見れば、自分たちが世間の人を救済してやると思っている
オウム信者たちは今の世の中に絶望してはいった人たち-この世の中は悪魔の世界と思っている。
娘を銃で殺された父親-犯人が憎いというが、犯人は自分の仕事に忠実なだけ
むしろ自分の仕事をしっかりやらなかった警視総監を憎むべき
フランスの核実験に対する怒り-不買運動など悪いことではないが
なぜフランスの大統領は核実験の再開を公約して当選したか?
中国の核実験に対して世界が黙っている-フランス国民の怒り
核開発では、絶えず核実験を繰り返していないとすぐに立ち遅れてしまう
アメリカなどではコンピューターシュミレーションによって、実際に核実験を行なわなくても、核実験と同じデータが得られる-核実験は必要ない
中国はそれほどの技術をもっていないので、核実験をやめない
フランスはこれに抗議して核実験を再開しようとしている
これをどうすればよいかと言うと非常に難しい問題
アメリカに対しコンピュータ核実験をやめろとは言えない-研究室だけのこと
中国の核実験をやめさせるしかないが、日本にはなにも言えない
中国から見て日本はなんでもないが、日本にとって中国は命の綱-市場としての大きさだけでなく、日本からの援助によって日本製品を買っている
中国が日本の援助を断れば日本の大企業が立ち行かなくなる
○憎んだり怒ったりする相手がどんな立場に立っているかを良く考える
相手の立場に立った説得-性犯罪の場合-暴行されそうになった婦人の二つの例 私は主人以外の誰にも肌を許していないなどと自分の立場で訴えると失敗
こんなおばさんを犯したら一生笑い物になると相手の立場で説得-成
『楞伽経』
雖 有 貪 恚 痴 むさぼり、いかり、しれ、あれど
而 実 無 有 人 そして実は人有る無し
從 愛 生 諸 陰 愛より諸陰が生じ
有 皆 如 幻 夢 有はみな幻夢の如し
計 著 於 自 性 自性においてけいちゃくし
從 諸 声 聞 生 もろもろの声聞より生まれる
超 度 諸 心 量 もろもろの心量を超度すれば
如 来 智 清 浄 如来の智で清浄
○訳
欲張ったり、怒ったり、手に入らないものを追い求めたりして、ばかなことをしますが、本当は人間の存在そのものがあやしいものです。
人々は執着するから、その心からいろいろな世界が生まれてきますが、しかしその自分を含めたすべての存在は夢や幻のようなものです。
こういう有とか、空だとか、自性があるとかないとかいうのも、すべて声聞の考え方です。
しかし、空だとか自性がないとかいう考え方を超えてこそ、清浄な如来の智と言えるのです。
貪=欲張る 恚=怒り 痴=手のとどかないものを欲しがる-渡辺美智雄など
無有=ないということ-有ることの否定(=THERE IS NOT)
愛=執着する 諸陰=五陰-感覚 すべて感覚でとらえられる世界
有=存在 計著=計算した上で執着する(着は著の俗字=日本)
自性=そのものにあらかじめ具わっている性質。『空』論ではそれが何であるか
は、すべて関係によって決まると考えるから、自性はないとする。
声聞=仏法を教わって理解できる仏(羅漢) 如来・菩薩・独覚・声聞
超度=超越して見る 心量=考える
○まとめ
なにごとも執着によるものであって、実際は幻や夢のように自分の心が生んだものです。だから執着をすてて自在心を育てるべきであって、何事にもこだわらない、囚われないことが大切です。
仏経にとって一番大切な『空』についてさえ、自性があるかないかとか、空であるかないかなどにこだわったり、とらわれずに、柔軟な自在心で考えるべきです。
張先生が松山にいたころ、入管の手続きが毎年面倒なので、帰化の申請をしようと、手続きのため書類を集めたりして、忙しく街を歩いていたら、交差点で左折車に轢かれそうになった。死んだらどうするといわれて、見たら相手が霊柩車なので、そのまま乗せてもらえばいいと言ったら、「そうもいかんがな」と言っていってしまった。
もしここで死んでいれば、面倒な手続きもいらなくなるし、国籍も必要なくなる。 便利なものはあるに越したことはないが、なければないでどうということもない。
正しい考え方を追求しようとすると、他の考え方と対立する。
自分のほうが正しいとすると、相手の考えが間違っていることになるから、これに執着すると、対立した場合には怒りを生じ、お互いに相手を殺す必要がでてくる。 しかし楞伽経のように冷静に考えれば、殺さなくても良いことがわかる。
オウム信者をどうするか?また同じことをやりそうだとか、冷静に考えて死刑にしたほうが良いとすれば、そうしたほうがよい。どうせ殺すなら同じと見えるが、オウムの残党から見れば、こちらが怒りにまかせず、冷静に対処していることがわかれば、反応が違ってくる。
怒るということは、自分にとっても利益がない。
正しいということにもこだわらずに、相手の間違いにも怒らず、冷静に自在心を持って考える。
紅孩児(聖嬰大王)の項での段階の功法-調気
○調気の動作
第一段階=導引法
第二段階=宝瓶気 呼吸法 小周天
宝瓶気→小周天
経穴 十二支 星座
丹田(気海→関元) 子 宝瓶宮(水瓶座)ちょろちょろするもの
海底 (会陰) 丑 磨羯宮(山羊座)鈍重なもの
尾閭(長強・腰兪) 寅 人馬宮(射手座)獰猛・危険なもの
夾脊(命門→至陽) 卯 魔蠍宮(蝎座) 残忍なもの、兎はとどめを刺す
椎道(陶道→大椎) 辰 天秤宮(天秤座)公平なもの、龍と天秤
玉枕(風府→脳戸) 巳 室女宮(乙女座)人嫌い、恥ずかしがり
泥丸 (百會) 午 獅子宮(獅子座)元気で男らしい
印堂 未 巨蟹宮(蟹座)
重楼 (簾泉) 申 双児宮(双子座)
縫宮 (膻中) 酉 金牛宮(牡牛座)
中 (中院) 戌 白羊宮(牡羊座)
神關 (神關) 亥 水魚宮(魚座) お人好し、人のくいもの
○前行 楽な姿勢で足を組んで静座する 足の組み方は気にしない
親指を除く左右の4本の指を組んで親指を合わせ、静かに丹田の前におく
まぶたをゆるく閉じて大きく呼吸する。まず息を大きく吸い込んで、おなかを膨らませ、息を丹田に送りこむ。しばらく息を止め、それからおなかをへこませて、息を吐く。
○正行 前行を五回ほど繰り返してから正行にはいる。
前行では意識的に大きく呼吸するが、正行ではごく自然にいちばん楽に呼吸する。 静座して目をゆるく閉じて、閉じた目で内側から丹田を見つめる=内視
内視しながら呼吸を楽にして丹田に送り込み、息をとめないでそのまま楽に吐き出す。何も考えず自然に呼吸し、息を丹田に送れるようにする。
◎五体=識・神・気・精・力
人間は生まれたとき一生分の識を持って生まれる
識にはそのまま脳で識として使われる識と、神をつくるために使われる識がある 陽識は自分の意志や言動を決定する。陰識は自分の今までのことを記録している
陽識(甲)意志決定=行 陽神(丙)感覚による情報の取込=受
陰識(乙)知識記録=識 陰神(丁)情報で生じるイメージ=想
神として使われる神=情動・情緒・情感
たとえば花を見るのが陽神(=感覚)きれいだと思うのが陰神(=イメージ)
気をつくるための神は、脳から心臓へおりてくる
陽神(丙) 煉 陽気(庚) 外気 生気
陰神(丁) 温 陰気(辛) 物理・自然 生理・生命
肺に入ってくる外気は、陽気と陰気がある
陽神は陰気を温め、陰神は陽気を煉る(丁庚=煉金)-外気を生気にかえる
外気は人間には役に立たない-神によって生気に変え、初めて役立つ
気には秩序を保つ機能として使われる気と、精をつくるために使われる気がある 精をつくるための気は肺から腎(現在の副腎)におりてくる
食物のなかから吸い取った精が脾(膵臓)に貯えられておりこれを気で生じて
使える精に変える
精にはそのまま精として使う精と、力をつくるための精がある
陽気(庚) 陽精(壬) 陽力(戊)
陰気(辛) 陰精(癸) 陰力(己)
陰精はそのまま食べ物から陰精として使う-陰精は体の営みそのもの=生命維持 陽気は陽精をつくる-陽精は対外的なあらゆる行為いとなみ=仕事・勉強など
陽精は陽気によって生じられないと使えない
陽精(壬) 陽力(戊) 癸と戊は干合の関係
陰精(癸) 陰力(己)
もともと筋肉には力がある 自分の外のものに作用を及ぼす力を陽力という
自分を支える力を陰力という 陽精は力には必要ない
陰精は力にうるおいを与え、はじめて陰力がつかいものになる
陰精は陽力をコントロールする-力を出すときに加減できるのは陰精の制御
◎三宝
神・気・精を五体のなかで三宝という (三宝 仏経=仏法僧 子平=財官印) 三宝は経絡を通じて全身に配られる
神経=神経(NERVE)
経絡 気経=狭義の経絡 いまだ発見されていない
精経=血管-精を運ぶ経絡
神として使われる神は脳にあり、気をつくるための神は心臓におりてくる
脳にある神も全身に配られなければならない-神経によって配られると考えた
『陰神』は脳から体を通じて手足の末端に配られ、『陽神』に変わる
『陽神』は末端から頭に入ってくると考えると、うまく現象と一致する
目で見た情報が脳に送られる-『陽神』がはいってくる
喜怒哀楽などの感情を外に向かって出す-『陰神』が末端にむかう
(※講義中、右を『陰気』『陽気』としていますが、先生の言い間違いです)
西洋の解剖生理学で言うNERVEを見て中医学の神経という言葉をあてた
英語のNERVEは勇気や葉脈などの意味で、神を配る経絡という意味はなかったが、結果的には割合妥当な訳になった。腎(=副腎)や、脾(=膵臓)などはひどい訳し間違いで中医学の腎や脾は、腎臓や脾臓とはまるでちがう
経絡(気経)は肺経からはじまり大腸経・胃経へとゆく
肺から外気を取り入れ、心臓に神があって、役に立たない気を、陰神が陽気を煉金し、陽神が陰気を温めて、生の陽気と陰気ができあがる
陽気は肺経から大腸経・胃経へ、陰気は反対に肺経から肝経・心包経へと流れる 気は体を循環して体のあちこちでつかうが、流れる量は適量でなくてはならない 多すぎる場合は任脈・督脈に渡し、少ない場合は任脈・督脈から呼び出す
任脈・督脈は、十二経絡以外の経絡で、からだ中心を通っている
任脈・督脈の経路のにはいくつもの壁があり小周天によってこの壁を突破することにより、気の調節量は非常に大きなものになる
もともと筋肉には力があり、陰精が陽力をコントロールし、陰力ににうるおいを与えて、はじめて力が役に立つ=昔の人の考え
血管が筋肉に栄養を運んで力が出るという現代の生理学とほぼ一致した考え方
気は経絡を通じて流れている-十二経絡-一番外側に膀胱経
膀胱経=病邪の進入を防ぐ
肺経=呼吸の秩序を保つ
心経=精神状態の秩序を保つ
心包経=胃の秩序を保つ-ストレスなどで胃が壊されるのを防ぐ
胆経=肉体に基づく判断力の秩序を保つ-子供が高いところから飛び降りたり、 勝てない相手とケンカしてケガをする=胆経の未成熟、年寄りが無理に重 いものを持ってギックリ腰になる=心経から壊れ始めて胆経が壊れる
胃経=消化機能の秩序を保つ
小腸経=液体-汗・尿・血液の機能を保つ
三焦経=免疫機能の秩序を保つ=感染やアレルギーの防止
大腸経=体の各部分の連絡の秩序を保つ
脾経=栄養の秩序を保つ-相撲取りは入門するとまず脾経を壊し太りだす
腎経=基本的な生命力-心臓と副腎の機能
肝経=基本的な解毒作用
これらはすべて全身的な機能であり、経絡によって表現される
◎臓象(気の五行)
陰の機能は、肉体の個々の機能自体そのものが壊れないように秩序を保つ
陽の機能は、その働きを保とうとする機能
機能-陰 陽 陰 陽 陰 陽 陰 陽
臓 腑 官 感 液 華 主 支 数
肝木 肝 胆 目 視力 涙 臭 筋 爪 3
心火 心 小腸 舌 味覚 血液 色 脈 乳房 2
脾土 脾 胃 口 食欲 唾液 形 肉 脂肪 5
肺金 肺 大腸 鼻 嗅覚 汗 声 皮 呼吸 4
腎水 腎 膀胱 耳 聴覚 尿 体温 骨 髪 1
口と肛門は機能であって臓器ではないともいう
形=やせすぎ太りすぎは脾経の機能がこわれたもの
それぞれの五行には優先順位があり、腎水は防衛予算のように真っ先に気が配分される-さらに他からも気をもってゆく
よく女性で病弱なのに髪の毛が美しいのは、気が髪=腎水にとられている
白髪が急に黒くなってまもなく肝臓ガン-肝経の気が腎水にとられた
脾土にあたる胃腸病・太りすぎやせすぎ・口内炎などは非常に多い
○気の性質
温-興奮・亢進・充血作用=陽気
清-鎮静・抑制・散血作用=陰気
これらの作用が自動的にゆずりあったりして、体の機能を保っている
朝起きると温作用が働いて興奮する 夜眠るときは清作用が働く
補-気の生産・保留 多すぎるときは任脈・督脈におくり込む
瀉-気の消耗・排出
指先や手の平からは、たえず気が流れている-背中に指を近づけるとわかる
乳首を近づけてもわからない-気が出ていない
次回は病気について
ガン・糖尿病・高血圧・アトピー・肥満
◎功法
調気の連続動作
膀胱経 膝屈伸 上体そらし 首
肺経 両腕水平のばし
心経 両腕前方のばし
心包経 両腕回転
胆経 胸反らし
胃経 下腹部反らし
小腸経 両肩回し
三焦経 腕逆左右のばし
大腸経 両腕そらし
脾経 丁字馬
腎経 丹田呼吸
肝経 みぞおち呼吸
○前行
○正行
調気 連続動作
膀胱経(足太陽) 屈伸 腰 首
肺経 (手太陰) 両腕水平
心経 (手少陰) 両腕前方
心包経(手厥陰) 両腕回転
胆経 (足少陽) 胸そらし
胃経 (足陽明) 下腹部そらし
小腸経(手太陽) 肩回し
三焦経(手小陽) 腕逆左右
大腸経(手陽明) 両手そらし
脾経 (足太陰) 丁字馬
腎経 (足少陰) 丹田呼吸
肝経 (足少陽) みぞおち呼吸
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